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アイビールック の A to Z【S】

私のモダンジャズの嗜好は今も昔も、スカやブルービートに加えてたっぷりのスタックスとアトランティックソウルをサイドメニューに持ってきたい。

2023.08.02 読む、服の知識・歴史

KAMAKURA SHIRTS A to Z OF THE IVY LOOK
著者/イラスト グレアム・マーシュ

S|セーター

「自分の言葉に耳を貸さない人たちが、あなたの着ているセーターで態度を変えるのはなぜだと思う?」
-フラン・レボウィッツ

私のモダンジャズの嗜好は今も昔も、スカやブルービートに加えてたっぷりのスタックスとアトランティックソウルをサイドメニューに持ってきたい。マイルス・デイビスやソニー・ロリンズ、ジョン・コルトレーンなど、モダンジャズはここに書ききれないほど多くの優れたミュージシャンを輩出してきた。また、これは好き嫌いが分かれるが、フリージャズと呼ばれるようになった音楽もある。この音楽の先導者はオーネット・コールマンだ。コールマンはテキサス出身のアルトサックス奏者で、黄色いプラスティック製のセルマーを吹いてジャズ界に衝撃を与えたことで有名だが、彼について最も印象的であったのは彼のシャープで尖った服装だ。彼のアルバム”The Shape of Jazz to Come”の表紙ではコントラストカラーが効いたネックラインのクルーネックセーターを着ており、この”tipping(ティッピング)”と呼ばれるセーターは当時のアイビー信者たちが喜ぶアイテムの一つだった。アルバムは1959年にリリースされ、楽曲の演奏はドン・チェリーによるトランペット、チャーリー・ヘイデンによるバス、ドラムはビリー・ヒギンズでアルトサックスがオーネット・コールマンという面々だ。さて、セーターの話に戻ろう。

セーターという名前の由来は、アイビー好きにはなくてはならないアイテムという印象からは程遠く、元々はアイビーリーグのスポーツ選手たちが汗をかいて減量するためにユニフォームとして使用されていたことにある。個人的に、冬にはラグランスリーブの純粋なシェットランドセーター(首元は縫われているものではなく編み込まれているもの)をさりげなくボタンダウンシャツの上に重ね着をする以上に良いコーディネートはないと思っている。90年代にロンドンにあったWestaway & Westawayで美しく仕上げられたシェットランドセータ―をとてもリーゾナブルな価格で購入していたのだが、非常に残念なことに、多くの優れたクラシックアイテムを卸していたメーカーやブランドとともに90年代中に閉店してしまったのだ。今この時代に、正しいスタイリングとナチュラルな色味の純粋シェットランドクルーネックセーターを手に入れるとなると、3桁ドル(1桁万円)以上はするだろう。このスタイルのセーターは通常夏服用のコットンでパステルカラーや無地のものが多く、チノパンやデニムによく似合う。

ケーブルニットであろうが、カシミヤのVネックや、シェットランドかアランニットであろうとも、たくさん着こまれて肘パットの付いたセーターは”Old Money”スタイルだ。もちろん、見つけられるのであれば”tipping”のクルーネックセーターでも同じだ。少し肌寒いときは、薄手のセーターを肩や腰に巻き付けるビジネススタイルもいい。私は涼しい夏の夜のために愛用のネイビーのカシミヤVネックセーターは常に外に持ち出している。ニットセータは何枚コレクションしてもいいアイテムだ。ベーシックなシェットランドクルーネックの他に、全体がケーブル編みのものも同じスタイルで着ることができる。お金に余裕がある人は、ラグジュアリーなカシミヤ製もいいだろう。もう一つ、冬のアイビースタイルの定番として欠かせないのが、L.L.Beanのノルウェージャンセーターだ。ネイビー地に白のチェック柄で撥水性のある未脱脂のウールが80%に強度を補う20%のレーヨン素材でできている。驚くほどに暖かいこのセーターは、大体は秋にしか手に入れられない。



アイビーのお気に入りといえば、アイリッシュ・フィッシャーマンズ・セーターだ。アラン島で手編みされたこのセーターは、クリーム色かネイビー染めされたウールで独特な凹凸の編み模様が特徴だ。元々は、漁師たちが海で溺れ死んでしまうようなことがあった時に、一人ひとりの見分けがつくよう各家庭で独自の編み模様を持っていた。より都会的なのは、上質なカシミヤのVネックセーターだ。ジャケットの下に着ることもできれば、ドレスシャツとの相性もいい。最後に紹介したいのは、よりスポーティーなテニスセーターもしくはクリケットセーターだ。Vネックのケーブルニットで、クリーム色のウール地に袖口、ウェスト、ネックラインにネイビーかマルーンのストライプが施されている。この種類のセーターはショートパンツや淡い色味のチノによく似合う。アイビースタイルには品質が重要だ。天然素材に上質なディテールが詰まっており、しっかりとした作りのセーターを選べば、いつの時代も流行りに遅れることはない。

スカーフ

数年前に、私は”Max and the Lost Note”という絵本を描いた。マックスはモダニズムな感性を持ったピアノを弾くアイビーリーグの猫だ。絵本の中の挿絵の一つで、マックスはハーバード大学のスカーフを巻いているのだが、まさに今日紹介したいアイテムだ。アイビーリーグ大学のスカーフは、暖を取るだけでなく、カラフルな色味で自分の所属を示す方法の一つなのだ。ストライプの幅と色の組み合わせは国旗の数だけあり、ほとんど大学のオンラインショップで買うことができる。典型的なデザインとしては、幅は少し狭めで細長く、フェルトのようなウール素材で作られている。このカレッジスカーフは、アイビーワードローブに加えたいハンサムなアイテムの一つだ。

次は、T。

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