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アイビールック の A to Z【F】

アイビー信者である者は少なくとも一着はフィールドジャケットを持っておくべきだろう。

2023.08.02 読む、服の知識・歴史

KAMAKURA SHIRTS A to Z OF THE IVY LOOK

著者/イラスト グレアム・マーシュ



「もし君がミリタリーを着たくないと言うのであれば、私がしばらく借りたいものだ。」

敬白、エイブラハム・リンカーン

F | M-65フィールドジャケット

アイビー信者である者は少なくとも一着はフィールドジャケットを持っておくべきだろう。まさに、ボタンダウンシャツにシェットランドセーターを合わせた上から羽織るにもってこいだ。ロンドンやニューヨーク、東京などのストリートでも、都会から離れた地方でも、同じように着ることのできる一着である。地方でも良いといったばかりだが、ぬかるみでG.H.BASSのウィージャンズローファーがどうなってしまうか、見たことあるかい?マーロン・ブランドが1954年の映画‘On The Waterfront’の中でこんな不満をこぼすシーンがある。「私は田舎が嫌いだ。クリケットは落ち着いていられない。」

フィールドジャケットを作っているメーカーはたくさんある。L.L.BeanやBarbour、Purdy。他にも上げるとしたらHollandなどもあるが、私がアイビールックとして選ぶのは、M-65だ。アメリカ軍によってデザインされ、50年以上も使われ続けている一流のフィールドジャケットである。フードはジッパーの付いた襟の中にしまえるようになっており、重たい真鍮のフロントジップはどんな気候にも耐えられる、まさに壊れることの知らないジャケットだ。この実用性の高いジャケットは、ほぼ間違いなく、何よりも幅広い形でコピー商品が生まれたミリタリーアイテムであり、街中や広告の中でも最も着られた服の一つであろう。



M-65はこれまでにたくさんの映画にも登場してきた。1976年の‘Taxi Driver’ではロバート・デ・ニーロが着用しており、他には1973年の‘Serpico’からはアル・パチーノ 、1982年の‘First Blood’からはシルヴェスター・スタローンなど。ウディ・アレンも何を隠そう、M-65を愛用していた一人である。彼が身バレをしないようバケットハットを深く被りながらM-65のフィールドコートを着ている姿は、ニューヨークのストリートで良く見かけられていたものだ。



私はこれまでにいくつかM-65を持っていて、カーキ色のものや今着ているのはオリーブグリーンのもの。悪天候の日に大活躍するアイテムだ。私の好みではあるが、合わせとしてはLevi’s 519 ‘Californians’のオフホワイトのパンツがベストであり、これはLevi’sの1960sベッドフォードパンツと全く同じモデルのものだ。そして言うまでもなく、靴はローファーを履きたい。ALDENかウィージャンズが良いだろう。



初めてAlpha Industriesで作られたM-65は、今でも手に入れることが出来る。古着としてアウトレットに並んでいるものか、新品でもインターネットショップ上ではたくさん見られる。現代的なテイストにも敏感な優れた目を持つアイビー信者には本当に便利なアイテムだ。

フレンチカフス(ダブルカフス)

アイビーシャツの中でも最もフォーマルなカフスは、フレンチカフスだ。通常の倍の長さのカフスを半分に折り返し、カフリンクスで袖口を留める仕様になっている。このタイプのカフスにはフォーマルカラーやスプレッド、カッタウェイにピンホールなどの襟型が良く、大体はビジネススーツやタキシードの下に着る。鎌倉シャツでも数々の上質なフレンチカフスシャツ(※)があり、パターンオーダーシャツでも作ることができる。カフリンクスに関しては2021年に再び注目する人が増えた様子だ。もちろん、カフリンクスを付ければフォーマル度は高まるが、ジャケットを羽織らずシャツ一枚でも恰好がつくのも事実だ。しかし、カジュアルトラウザーズやスニーカーとは合わせない。上着はブレザーとの相性はいいがスポーツジャケットは良くない。私たちは細かいところ違いから、その人のファッションがフォーマル仕様なのかビジネス仕様なのかを見極めるわけだが、カフリンクスもその役割を担うアイテムだ。

※鎌倉シャツでは、同様のカフス型を「ダブルカフス」として作成しています。



カフリンクスはフレンチカフスシャツにおいて必要不可欠なものだが、決して高価なものである必要はない。しかしながら、高価な石とメタル素材のもので印象的にすることも出来れば、自分のイニシャルや出身大学、家紋柄のものなどで自分のアイコンとして付けることもできる。他にも似たようなカフスがある。例えば、2つボタンが付いたターンナップカフス。(英語では「cocktail cuffs」もしくは「Portofino cuffs」と呼ばれる)このカフスが有名になったのは、言うまでもなく、ジェームズ・ボンドがきっけかだ。あのイヤン・フレミングによるスーパースパイ小説の中で、ショーン・カーニーがエレガントに演じるジェームズ・ボンドだ。

GM

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