覚えておきたい。チェック柄の種類と歴史
普段何気なく着ている服には歴史と伝統がつきものです。今回はチェック柄にフォーカスして、種類や歴史、特徴も含めて解説いたします。
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普段何気なく着ている服には、歴史があります。
今回はチェック柄にフォーカスして、それぞれの歴史と特徴について解説いたします。
一見ポップで可愛らしいと感じるチェックも、根深い歴史と伝統のもとに柄が生まれることが多いです。
そのルーツを知ることで、普段のお買い物や服選びがより楽しくなることと思います。
ギンガムチェック
白とほかの1色、計2色の糸で構成される『ギンガムチェック』。
ブルーやネイビー系のギンガムが定番です。
生地作りが盛んだった町、フランスのヴィシー地方に由来し、ヨーロッパでは『ヴィシーチェック』と呼ばれることも。
ファッションアイテムではシャツやジャケット、スカートなどにも用いられることが多く、
最も定番的なチェック柄です。
カジュアルシャツ ブロードクロス
8,690円 (税込・参考価格)
グラフチェック
シャツ:YPNO13_24
『グラフチェック』は方眼紙のような細い線で構成されたチェック柄です。
基本的にはシンプルな2色使いのものが多く、様々なアイテムとの組み合わせが可能。
ドレスシャツの基本柄として、長年親しまれています。
ハウンドトゥース
シャツ:PM1007_27
柄の発祥はスコットランドで、猟犬(ハウンド)の歯(トゥース)のようにギザギザした模様であることから、『ハウンドトゥース』と呼ばれるようになりました。
日本では空を飛ぶ鳥のように見えることから、『千鳥格子』とも呼ばれています。
黒×白や、紺×白などの落ち着いた色を用いることが多く、主に細かい柄で構成されるため、スタイリングの幅を広げやすいことが魅力の一つです。
そんなハウンドトゥースですが、ファッションアイテムとして浸透したのは1920~30年代頃のことです。
今もなお、紳士のファッションアイコンである英ウィンザー公が着用したことで人気を博しました。
そのような流れもあり、ハウンドトゥース=男性のイメージが強い柄でしたが、
1948年にChristian Dior(クリスチャン・ディオール)のオートクチュールコレクションにてデザインが取り入れられました。
それをきっかけに、女性服にも一般化されたと言われています。
スリムフィット ウォッシャブルウール
13,200円 (税込・参考価格)
マドラスチェック
シャツ:YNGO23_45
天然染料による多色づかいと、不規則な縞からなる大きな柄が特徴の『マドラスチェック』。
天然染料を使って色染め(草木染め)をするため、
洗濯していくうちに色落ちが出て独特な風合いが生まれることも魅力の一つですが、
現代では化学染料を用いることが一般的です。
発祥の地はインド南東部のマドラス(現チェンナイ)。
マドラスはベンガル湾に面する港湾都市名で、南インド・東海岸の主要都市です。
かつて17世紀イギリス東インド会社の貿易拠点として商業・文化の中心地として発展しました。
当時好景気に沸いたイギリスにおいて、
マドラスから輸出される綿製品によって多くの富がもたらされました。
そのマドラスから輸出されるチェック柄の生地を総称して、
マドラスチェックと呼ばれるようになりました。
シャツ:SKBR19_35
1902年、Brooks Brothers(ブルックスブラザーズ)にて、初めてファッションとして採用されたと言われています。
1950~60年代には、アイビーリーガーの春夏定番アイテムとして、
マドラスチェック生地を使ったシャツやショーツ、ジャケットなどのアイテムが愛されていました。
80年代はプレッピー、90年代は渋カジでも一大ブームが起こり、いまもなおトラッドスタイルには欠かせない存在です。
タッターソールチェック
シャツ:WN100_21
2色の細い縞が、たてよこに交差した『タッターソールチェック』。
白地に赤×黒、茶×黄などの組み合わせが多く、主にシャツやベストに用いられます。
18世紀のイギリスで、騎手・実業家であったリチャード・タタソールという人物が、
馬が静止しているときにかける毛布(ホースブランケット)の柄が、今でいう『タッターソール』であることからこの名前がつきました。
そのようなルーツから、『乗馬格子』と呼ばれることも。
日本でも1960年以降、アイビーやブリティッシュカントリーのアイコンとして現代でも親しまれています。
アーガイルチェック
細いラインと、ひし形の連続で構成される『アーガイルチェック』。
ソックスやセーターに起用されることが多く、アイビールック、アメリカントラッドの印象が強い柄です。
そんなアーガイルチェックですが、実はこちらもスコットランドが発祥。
スコットランド西部アーガイル地方の、キャンベル家という大氏族がルーツと言われています。
また、後述する『タータン』の一種でもありました。
1950年代、Brooks Brothers(ブルックスブラザーズ)からアーガイル柄のソックスが発売されたことをきっかけに、アメリカ、世界中に浸透しました。
1970年代にはパンクファッションに、現代ではスクールスタイルに取り入れられることもあります。
オンブレチェック
シャツ:PN1018_29
『オンブレ』とはフランス語で「陰影、濃淡」の意味を持ちます。
境目がはっきりしない、色のグラデーションがある格子柄です。
ここまでご紹介してきたチェック柄は、
ヨーロッパを中心に上流階級の人が着たことで一般化されてきました。
そんな中『オンブレチェック』は、アメリカのアウトローな少年やバイカー、スケーター、グランジファッションなどから世界に普及したため、サブカルチャー的な印象が強く感じられます。
シャツ:PN1018_35
グレンチェック
コート:ZGDN26_G3
他の多くのチェック柄と同様、スコットランドにルーツを持つ『グレンチェック』。
たてよこの縞だけでなく、千鳥格子も組み合わせていることが特徴です。
1840年に「グレナカート・エステート・チェック」として登録され、デザイナーであるエリザベス・マクドゥーガル女史が、生まれ故郷の村、ルイストンで考察、その場所は峡谷(グレン)の底にあったということから、この名が付いたと言われています。
また、シーフィールド伯爵夫人キャロラインが、使用人に着せるための丈夫でスマートなデザインの服を探しており、考案したという説もあるようです。
20世紀に入り、狩猟で訪れたエドワード7世(当時はプリンス・オブ・ウェールズ)は、
領地のスタッフが、水色のラインが入ったグレンチェックを着ているのを見てそれを気にいりました。
このことから、ラインが入ったグレンチェックを『プリンス・オブ・ウェールズ』と呼ぶようになりました。
その後、エドワード7世は王室でも着用ていたことで、紳士のワードローブに欠かせいチェック柄となりました。
タータン
シャツ:PN1015_49
複数の異なる色・太さの縞を、格子状に重ねた『タータン』。
歴史は長く、発見されている最も古いタータンは紀元3~4世紀のものとされています。
他のチェックと大きく異なる点は、発祥の地スコットランドにて、柄を登録・管理しているという点。
毎年世界各国から申請があり、現在では7000種類以上あり、その一つひとつに名前がついています。
これまでご紹介してきたチェックと深く関わりのあったスコットランドでは、
チェックは階級や氏族のアイデンティティを示すものだったとも言われています。
その代表格とされているのが、こちらの『タータン』。
日本でいう家紋のような存在でした。
トラッドからパンク、ハイファッションまで、
タータンは国や年代の垣根を越え、チェック柄のなかでも特別な存在です。
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