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アイビールック の A to Z【P】

ポロシャツは、1960年代のモダニズムの時代から私のアイビーアイテムが並ぶワードローブで主役的存在の一つだった。

2023.08.02 読む、服の知識・歴史

KAMAKURA SHIRTS A to Z OF THE IVY LOOK
著者/イラスト グレアム・マーシュ

“昔から小さなことが一番重要だと思っている。”
-シャーロック・ホームズ

P|ポロシャツ

ポロシャツは、1960年代のモダニズムの時代から私のアイビーアイテムが並ぶワードローブで主役的存在の一つだった。当時、英国のポロシャツ市場を勝ち取っていたフレッドペリーとルネ・ラコステという、ともにスーパーテニスプレイヤーの名を冠した2つのブランドがあった。19世紀頭にはテニスウェアとしてデザインされたポロシャツは、体にストレスを与えないその追及された軽量さとエレガントさを兼ね備えていることから、ストリートウェアとして市場の市民権を得ていったのだった。ポロシャツはメンズウェアの最も基本的なアイテムの一つとなった。ポロ競技が始まった19世紀半ばには、フォーマルなスポーツウェアからアイビークラシックへと徐々に進化していった。騎乗スポーツ(ポロ)のモダンなユニフォームの起源はインドにまでさかのぼる。インドの北東部のマニプール州に駐在していた英国軍人がインド人からポロを習い、イギリスへ持ち帰ったのだ。そこでポロシャツは裕福層や王族、上流階級の代名詞となった。

ボタンダウンシャツと同じように、ブルックスブラザーズが大衆向けのポロ競技シャツを発売したのが1896年のことだ。しかし、冒頭で述べたように、現代の私たちが知るポロシャツはポロ競技とは全く別のスポーツであるテニスから生まれた。ポロ競技同様に、1900年代初めのテニス試合の白ユニフォームは長袖ボタンダウンシャツが主流だった。この窮屈なユニフォームを実用性の高い形にしたのが、グランドスラムで7冠を達成したフランスのスター、ルネ・ラコステだった。彼がオリジナルで作ったシャツは、半袖で軽量かつ通気性のいいコットンピケの生地に三つボタンが付いたデザインであり、コートでのプレーの動きを変えたのだ。ラコステは、彼のプレーの俊敏さと力強いショットから「クロコダイル」の愛称で呼ばれていたのだが、これにとても誇りを持っていた彼はユニフォームの左胸にクロコダイルの刺繍を施した。こうして、現代のポロシャツの原型となるラコステのポロが生まれたのだ。



1950年にはニットポロシャツはアメリカで人々が必ず持つアイテムの一つとなった。柔らかな仕立てのシミューズ(※)はフォーマルウェアとレジャーウェアの境界線を越えて、ゴルフクラブでも友好クラブのメンバーが同居をするフラットハウスでも、どんな天候の中でも着られていた。アイビーリーガーたちはIZOD社のラコステシャツを大学のスポーツジャケットの下に着て、堅苦しさのないこなれた襟元のラインを演出していた。

※シミューズは、男女共通の肌着を指し、ワイシャツも元々はシミューズの一種として誕生した。



ポロブランドを立ち上げて間もなく、若きラルフ・ローレンは、コットンピケ生地で彼の理想とするポロシャツを24色のカラーバリエーションで発売した。これは、ラルフ・ローレンのニットシャツがポロシャツとして知られるようになるまでそう時間はかからず、その後50年近くも彼の代表的な人気商品としてあり続けている。



鎌倉シャツでは、ポロシャツの伝統を尊重しながら制作された素晴らしいポロシャツが長袖と半袖で用意されている。

パジャマ

クラシックなストライプ柄のパジャマは、いつの時代も私のアイビールックの定番だ。ストライプ柄は寒い季節になると着るのだが、季節に限らず着ていたいのは無地のコットン生地にパイピングと胸ポケットが施されたパジャマだ。最近では、在宅で仕事をすることが許され始めたことで、より多くの人が家の中でパジャマを着る時間が増えたに違いない。いわゆる、ラウンジウェアとして。パジャマは、最も快適な睡眠アイテムであり、生地はシルクから綿まで、寒い時期はフランネルもあり様々だ。2018年の映画『ファントム・スレッド』では、ダニエル・デイ=ルイスがパジャマと昔ながらの毛織のドレッシングガウンを着た姿がよく似合っていた。このスタイルのドレッシングガウンはなかなか見つけるのも一苦労だが、高価な値段で存在している。



パジャマという言葉はオスマン帝国時代に生まれたもので、ヒンディー語の”paejama”が語源である。”paejama” は、インドやイラン、パキスタン、バングラデシュで男女ともに着る服で、ゆったりとした綿のトラウザーズや腰で絞ったパンツにベルト付きのジャケットと組み合わせるものである。パジャマは17世紀に初めて西洋に入ってきたのだが、当初英国ではモーグル用のとボトムスとして知られていた。男性のラウンジウェアとして普及したのは1870年頃のことで、イギリス植民地人がインドから持ち帰り、従来のナイトシャツの代わりにズボンとジャケットをパジャマとしたのが始まりとされている。

20世紀に入る頃、ポール・ポワレは裕福層の女性の日中着として東洋風のデザインを施したパジャマを作っていた。しかし、1920年代に入ったころからパジャマは女性にとっておしゃれな寝間着や部屋着として流行りだしたのだった。
言うまでもないが、鎌倉シャツには男性用と女性用ともにいいアイテムたちが揃っている。

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