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鎌倉シャツはシャツだけではなく文化を作っている Vol.1

本場であるアメリカから日本の服飾文化「IVY」を捉える人物がいた。「AMETRA」の著者であり、ハーバード大学出身のデイヴィッド・マークス氏だ。

2024.04.10 ブログ


またまた新シリーズがスタートしてしまったが、「創業者シリーズ」や「松下幸之助」、「鎌倉後の世界」など含め様々な題目から、会社の歴史や方向性について書き残していきたいと思っている。

それにはブログやFacebookを使って公に向かって発信するのが一番良いと思っていて、社内に対して伝えたいことであっても変に強制することもなく、フラットな目線で読んでくれるのではないかと期待している。


今回の題目を書こうと思ったきっかけは、鎌倉シャツが創業以来、今日までSPAと呼ばれ製造から売り場までを一直線につなぐビジネススタイルを貫いてきたわけだが、「他にもシャツを作って売るスタイルの会社が増えてきたから」に他ならない。

最近、特に増えてきたのが、東南アジアなどでそれっぽいシャツを作り、それなりに販売価格を抑えて(実際はコストが安いので販売価格は抑えてない)展開する会社である。

シャツのプロから見ると、これらのシャツは逆に高いと言わざるを得ない場合もあるのだが、一般の方には気づかれにくいし、シャツを作って売っているメーカー側も「良いシャツとは何か」をおそらく知らないのだと思う。
つまり、「シャツをよく知らない人達がシャツをよく知らない方々に向けて、製造・販売する謎のマーケット」が悪気もなく、それなりに形成されてしまっているのである。

とはいえ、鎌倉シャツも例外に漏れず一般の方を相手に商売をさせていただいているので、他社との「分かりやすい差別化」を図らなくてはならないのだが、全てのお客様がホームページを事細かに読んでくださるわけでもないので、「良いシャツの定義」を伝えていくのは難しい。

そこで大切になってくるのが、このブログのタイトルにもなっている「文化」なのだと思う。

この場合において、「文化」は「ストーリー」という言葉でも置き換えることが出来る。
東南アジアではなく、日本の繊維工場の存続を願い、発展を信じて、世界に冠たるメイドイン・ジャパンで世界に挑戦していくことは、素晴らしいストーリーであり、鎌倉シャツ独自の文化である。
一方、世界的観点から見れば、また鎌倉シャツの創業者が常々語っていたように「日本には洋服の文化自体がない」とされているのも事実である。

しかし、それらとは違う観点、本場であるアメリカから日本の服飾文化を捉える人物がいたのだ。
それは、あの全世界でカルト的人気を誇る書籍「AMETRA」の著者であり、自らもIVY LEAGUE・ハーバード大学出身のデイヴィッド・マークスさんその人である。


日本は戦後間もない1951年に、日本アパレル業界の巨匠である石津謙介氏によって「VAN」が創設され、何もなかった日本に当時のアメリカの上流階級のスタイルだった「IVY」を紹介し、60年代には「アイビー・ブーム」を引き起こしたのだった。


一方、同じ洋服の後進国だった中国(香港を除く)や東南アジアには、ある種のスタイルだけがムーブメントを作ったケースは歴史上ない。

日本は、VANのおかげで「アイビー」という大きなムーブメントが巻き起こり、今日でも少ならからずその文化は残っているが、デイヴィッドさんによれば、本場アメリカには「IVY」という服飾文化は現存しておらず、日本にしか残っていないそうなのである。

彼は著書「AMETRA」の中で、アメリカにはもうないノスタルジーとなってしまったIVY文化を「日本人が存続させた」という事実について深い考察と共に言及している。
そして、その中で、鎌倉シャツのボタンダウン・シャツが「現存するIVY文化の中で最高」という評価をいただいていることに、我々社員は大きな喜びと誇りを覚え、勇気をいただいたのだった。


鎌倉シャツの創業者は「日本には洋服文化はない」と断言していたが、それは我々が謙虚に学ぶ姿勢を忘れずに進化するための「励ましの言葉」であり、外部から見ていたデイヴィッドさんは、日本人が独自の感性とハイレベルな物作りの背景を持つことで「IVY文化を存続した」と評価してくれたのである。
つまり今日、鎌倉シャツはアイビーにおけるボタンダウン ・シャツという独自の「文化」を持っていることになり、そこから派生したドレスシャツも同様と言えるのではないだろうか。

ブログのタイトルでもある「鎌倉シャツはシャツだけでなく文化を作っている」ことが会社にとってのオリジナリティであり、わかりやすい部分で他社との大きな違いを生んでいる部分と思って差し違いないように思う。


繰り返しになるが、鎌倉シャツが持っている独自の文化とは「メイドイン・ジャパン」と「日本独自のものとなったアイビー」なのである。


文化(やストーリー)を持っているシャツ・メーカーは世界的に見ても圧倒的少数だと思う。 私達は、改めてそのことに気付くべきである。

そして、今後も鎌倉シャツは「ここ鎌倉から新しいカルチャーを創出」していく予定でいるが、それについては、Vol.2以降でゆっくりとご紹介することにしたい。


(つづく)

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