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鎌倉シャツ創業者との対話 Vol.7

毎年、5月くらいになると、私の頭の中の半分くらいは6月の欧州出張で占めることになり、創業者ともよく一緒にヨーロッパに行ったことを思い出す。

2024.05.14 貞末哲兵コラム


今このブログを書いているのは2024年の5/8(水)の20:00を少し回ったところだ。

文章を書くのに適している時間は朝だと思うのだが、ブログの骨格のような物を夜に作っておくと朝作業がしやすいのではないかと思っている。


さて、今回は創業者との対話シリーズだが、私は創業者である貞末良雄からは本当に様々なことを教わり、「商人」としてのプライド、生き方を間近で見てきた。


「貞末良雄のコラム」はこちら



今でも私は、引退した彼のところに行くと「ビジネス」の話をすることが多い。

先日、私と鎌倉シャツ・チームで作り上げた、「ZEN通信」(世界的な宗教家である横田南嶺老師へのインタビュー)の感想もいただくことが出来た。


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創業者 「ZENは日本人の生活に根付いた物であるが、勉強をしていなくては、老師様にインタビューは出来ないだろうし、こうは書けないだろうな。」


私   「ありがとうございます。 もちろん、インタビューや原稿は自分で書いていますが、チームで取り組んだ結果、ビジュアルや編集含めて良い内容になったと思っています。 5年後、10年後に見ても色褪せないような内容になればと思っています。」



創業者は何より、私が話す会社のことやビジネスの話が好きで、時折こちらがドキッとしてしまうような現役さながらの表情をすることがある。

毎年、5月くらいになると、私の頭の中の半分くらいは6月の欧州出張で占めることになり、創業者ともよく一緒にヨーロッパに行ったことを思い出す。




終生忘れないであろう、彼の念仏とも言える

「哲兵、服はヨーロッパだぞ。 ヨーロッパに行け。 行けば分かる。 行かねば分からぬ。」



ヨーロッパに行かれなかったコロナ渦においては、「鎌倉」をある意味でヨーロッパのようにディグ(掘る)し続けることで、本当にたくさんの素晴らしい方々との出会いや、これまで想像もしなかったような新しいプロダクトにも恵まれた。

一時、もうこのままヨーロッパは行かなくてもいいかな。という考えも頭を過ったのだが、2023年の6月より復帰したヨーロッパでは、とてつもなく素晴らしい経験をすることが出来た。




そして、今年の1月のヨーロッパ出張でも(体調はボロボロだったが)「かけがえのない大切なもの」を持ち帰ったように思っている。




以前は11時間くらいだったが、今はヨーロッパの主要都市に行くまでおよそ14時間かかる。
距離は変わらないのだが、航路が変わったため、ヨーロッパは格段に遠い地域になってしまった。

もちろん、エコノミーで行くので肉体的にはかなり疲労するのだが、実は悪いことばかりではない。
日本からの距離(航路変更)や時間が伸びるということは、それに比例して日本では手に入らない情報の量と質が飛躍的にアップするのだ。

情報へのアクセスはGoogleやInstagramなどが手っ取り早いが、それは、あくまでインスタントであり、誰でも入手出来るものに過ぎないのである。




そう、Instagramと対極にあるのがリアルな体験であり、手間隙をかけて得た本物の情報になるのだ。


10年くらい前だったと思うが、私が本能と勘だけを頼りに出会った、ナポリのBORRIELLO(当時、まだビームスさんは展開しておらず、ピッティにも出ていなかった)というシャツ・ファクトリーが作るシャツに魅了された。




鎌倉シャツが作る「量産の最高」とはまた違うアプローチで作られたナポリのシャツは「異次元」そのものだった。

あくまで「工業製品の中での最高」を目指し、多くの方をお洒落にして差し上げたい鎌倉シャツに対して、BORRIELLOは「工芸品」を作っていた。
しかも、イタリア人達(ナポリ人)はいとも簡単に芸術的な縫製をしていて、彼らは量を作ることが出来ない代わりに品質だけを極めていたのである。



もう一つ、(念仏の他に)創業者から言われたことで忘れられない一言がある。

創業者 「哲兵、このシャツは異次元だな!」



創業者がイタリア製のブルーのシャツを着て、颯爽と広尾のオフィスに出社した時、私とコバぶろぐでお馴染みの小林に放った強烈な言葉だった。




思えば、あの時が「哲兵、服はヨーロッパだぞ。ヨーロッパに行け。行けば分かる。行かねば分からぬ」を体現し、その評価を得た瞬間だったのかもしれない。




そして、ナポリのシャツ工場と仕事をしながら、お店でも展開し、スタッフが着用することによって、鎌倉シャツは大きな学びを得ることが出来た。

そして、鎌倉シャツの物作りは更なる高みを目指し「量産の最高」を今も狙い続けているのである。



つづく

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