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アイビールック の A to Z【O】

私が最初にアイビールックに魅了されたのは、このスタイル特有のクールなエレガントさだ。

2023.08.02 読む、服の知識・歴史

KAMAKURA SHIRTS A to Z OF THE IVY LOOK
著者 / イラスト グレアム・マーシュ

O|オーバーコートとオックスフォード

『誰でも身なりが格好良く決まっていれば上機嫌な気立てのいい男となるだろう。』
チャールズ・ディケンズ イギリス小説家(‐ 1812-1870年)

私が最初にアイビールックに魅了されたのは、このスタイル特有のクールなエレガントさだ。前にも言ったことがあるが、民主的で機能的な着こなしの中でも一つ一つのディテールがアイビールックの良さを引き出すのである。例えば、オーバーコートもディテールが生かされているもの一つだ。(アメリカではトップコートとも呼ばれる。)
アイビールックを一段格上げしてくれるアイテムだ。上質なコートはいくつもあるが、今回は本格的なアイビー信者の誰しもが誇りをもって着こなす4 つのスタイルを紹介したい。

ポロコートは、ラグジュアリ な雰囲気が漂うイギリス発祥のアメリカン・クラシックな―コートだ。かつてのポロ競技中、選手たちは防寒のためにゴールデンタン色のラップコートを着ていた。後にコートのベルトはボタンに置き換わり、選手たちが試合後も着るようになると観客達はそれを見逃さなかった。1920 年代終わりごろにはポロコートはアイビーリーグで最も人気のあるオーバーコートの一つとなった。キャメルヘアー生地作られたダブルブレステッドの背面には伝統的な2 枚ベルトが付き、サイドには深いパッチアンドフラップポケットが施される。
コートの裾はちょうど膝下くらいに落ちる着丈が好ましいが、ロングコートとするのならば膝下6~7 インチ(約15.5~18cm)くらいの長さがいいだろう。

オーバーコートの着丈はとても重要だ。もし膝丈よりも短いコートを着るのであれば男性は気を付けた方がいい。上半身が下半身より大きく映ることで、バランスが悪い体格に見えてしまい、野暮ったい印象を与えてしまうからだ。また、背中のベントも重要なディテールだ。
ベントの切れ目はヒップより上にあってはいけない。高い位置に来るベントは格好悪いだけでなく、隙間風が入ってしまうからだ。

チェスターフィールドはフォーマル仕様のストレートカットのコートだ。コートの名前は1830 年代の第6 代チェスターフィールド伯爵ジョージ・スタンホープ(1805-1866 年)がこのスタイルを広めたことから由来している。フライフロントのコートは膝が隠れるくらいの長さで着るバランスが良い。毎日使いとしては、ベルベットの襟を付けていてもいなくても、ネイビーかチャコールグレーであればドレスアップにもなり、ジーンズやボタンダウンシャツとの相性がとにかくいいのも事実だ。
イブニングには黒のベルベット襟が付いた黒のウールかカシミヤ地、もしくは襟にファーの付いたダークツイード地のチェスターフィールドを勧めたい。
カバートコートはチェスターフィールドに似た形だが、元々は狩りやアウトドア用にデザインされたコートだった。
そのために、狩りの獲物が隠れる茂みという意味である「Covert」から名前を取り、生地も丈夫ないわゆる「カバート・クロス」で作られることが多い。今ではより軽量な素材でシングルブレストにフライトフロントのノッチドラペルが付いた形が、街中ではよく着られている。横並びに入るステッチはコバートコートの特徴の一つで、よりカジュアルな雰囲気を醸し出してくれる。
ブリティッシュ・ウォームは他のコートに比べてかなり重みのあるもので、ダブルブレストに幅広のピークドラペル、そして深いフラップポケットが付いているのが典型的だ。これは第一次世界大戦で英国陸軍士官が着用していたグレートコートが原型となっており、もともとはメルトン生地で作られるのが定番だった。ウィンストン・チャーチルがこのコートを有名にするきっかけの人物だ。一般的に色味はトープであることが多く、エポーレットが付いているものや絞りのかかったシェイプのものもある。

もしダブルブレストとシングルブレストのどちらかを選ぶとするならば、一般的にダブルブレストはコート生地が2 枚重ねで体の前面を覆うのでシングルブレストより暖かいと言われている。シングルブレストは、よりスリムな見た目となる。
数年前に近所のヴィンテージマーケットで紺色のクロンビー生地のとてもハンサムなシングルブレストコートを見つけた。しかも手軽な価格で。それはとても暖かく、控えめなデザインでスマートなコートだ。ラグランスリーブの上質なコートもあったが、ラグランスリーブは肩幅が十分広くカットされていないとコートの中でスーツジャケットが膨らんでしまい、しなやかなドレープが作られなくなってしまう。
サイズ感がしっかりと合ったクラシックなオーバーコートは 20 年以上も使える。1 着持っていることは賢い選択だ。もしあなたが本格的なアイビールックをしたいだとか、レストランで良いサービスを受けたいだとか、またはビジネスパートナーに会うときにいい印象を与えたいなどと思うのであれば、新たにオーバーコートを1 着追加することも素晴らしい投資になるだろう。



頭文字O と言えば、やはりオックスフォード生地だ。この生地始まりは19 世紀のスコットランドにある。
当時、スコットランドの織物の世界では競争が激しく、織物工場では常に新たしいアイディアが必要とされ盛んに織り構造の研究が行われていた。その中で、ある一つの工場が様々な織りのシャツ用地のラインナップを作成し、一つ一つにエリート大学の名前を付けるというマーケティング戦略をとった。それは、イエール、ハーバード、ケンブリッジとオックスフォードの4 種類のラインナップだ。残念ながらこのうち3 種類の生地は全く売れなかったが、オックスフォードだけはシャツ生地として爆発的な人気を博した。オックスフォードの生地は、太い重みのある糸と細い軽量な糸の2 種類を使用するバスケット織りが特徴であり、それぞれ別の色の糸を使うものもある。 この生地感はアイコン的な存在となり、男性にも女性にも愛されるクラシックアイビーのボタンダウンシャツには理想的な生地だ。もちろん、鎌倉シャツのVintage Ivy コレクションでもSPORT コレクョンでも、数多くのオックスフォードシャツを展開している。

次は、P。

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