1. Home
  2. >
  3. 知識
  4. >
  5. 読む、服の知識・歴史
  6. >
  7. アイビールック の A ...

アイビールック の A to Z【M】

かつて究極のアイビー素材であるマドラスチェックで作られたシャツやショーツ、ジャケットというのは、洗濯をすると滲んでしまいアイビーならではの完璧な美しさを持った色合いが出ていた。

2023.08.02 読む、服の知識・歴史

KAMAKURA SHIRTS A to Z OF THE IVY LOOK
著者/イラスト グレアム・マーシュ

M|マドラス

「カーキーチノにマドラスチェックのジャケットを合わせる。これ以上のIVYはない!」

かつて究極のアイビー素材であるマドラスチェックで作られたシャツやショーツ、ジャケットというのは、洗濯をすると滲んでしまいアイビーならではの完璧な美しさを持った色合いが出ていた。しかし悲しいことに、現代の織り機はエアーを動力としており染料が滲むことはない。

19世紀半ばBrooks Brothersは大量のマドラス生地(正確には1万ヤード分)を購入したが、当時はこの生地が正しい方法で洗濯をしないと色落ちしてしまうほどデリケートであるということが知らされていなかったそうだ。この生地の色落ちは多くのBrooks Brothersの顧客を怒らせた。しかしそこで、ブルックス兄弟はこの事態を巧みなマーケティングキャンペーンへと展開したのだ。滲みの出るこの手織り生地は実はとても特別なものであり、Brooks Brothersの店舗限定販売品として作られた生地として謳ったのだ。彼らは色褪せという欠点を、おしゃれを格上げする利点へ変えてしまった。この事態を後押しするかのように、当時の雑誌の記事には色褪せたアドラスの写真に『Guaranteed to Bleed(滲み保証付き)』というキャプションが付けられた。その後、Brooks Brothersには生産量を超えるマドラスのオーダーが殺到したのだった。



インドのマドラス(現在はチェンナイ)は、マドラス織りの糸が最初に作られた場所である。ストライプとチェック柄からなる糸のマドラスという名前は、南インドにあるマドラス地方の海岸地帯に住んでいたマドラサンという漁師の長の名前から派生した。マドラス地方の伝統服に使われる糸でもあった。マドラスがアメリカに伝わったのは1718年、当時インド・マドラスの知事だったエリフ・イエールがコネチカット州のカレッジスクールに寄付したのが始まりと言われている。このカレッジスクールは後に彼の名を冠した学校名へと改名されたのだが、どの名門校であるかは言うまでもないだろう。マドラスは通気性に優れた美しい生地で、1950年代にはアイビーリーガーたちがこぞって着用し、それ以来もずっと愛され続けている。ボロボロのブルージーンズがファッションとして受け入れられるようになる前は、この色あせた『Guaranteed to Bleed』のマドラスシャツが、アイビー信者たちが愛するある種の「無関心さ」を表現していたのだろう。



しばらく前に買ったヴィンテージのマドラスショーツは完璧なほどに色あせていて、ショーツとしては十分に履きつぶした後に、ファッションエディターであった私の元パートナーがポケットチーフとしてリメイクしてくれた。素敵な生地でできた服を着る喜びを思い出させてくれる、そんな数枚のポケットチーフだ。1960年代に伝説の日本人ファッションデザイナーである高田賢三がマドラスジャケットとカーキ色のチノパンでパリに到着したことも印象的な出来事の一つだ。これ以上のアイビーコーディネートはない!2022年の鎌倉シャツVintage Ivyコレクションでは、とても素敵なマドラスチェックの長袖ボタンダウンをリリース予定だ。このシャツは、ジャズサックス奏者の故ジョン・コルトレーンからインスパイアされたもので、60年代に彼が同じようなシャツを着ている写真がある。この写真は、私が最近ジェイソン・ジュールスと共著でReel Art Pressから出版した『Black Ivy』という本に中で見ることができる。いつものごとく、鎌倉シャツがこのシャツを特別なマド

ラス生地で完璧に再現してくれた。


次は、N。

ブログ内イラスト ©︎ Graham Marsh

グレアム氏とコラボした
”VINTAGE IVY COLLECTION”を見る

”VINTAGE IVY COLLECTION”について詳しくはこちら

商品やサービスを紹介いたします記事の内容は、必ずしもそれらの効能・効果を保証するものではございません。
商品やサービスのご購入・ご利用に関して、当メディア運営者は一切の責任を負いません。