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アイビールック の A to Z【E】

ディナースーツ(アメリカではタキシードと呼ばれるスーツ)などの正式なイブニングドレスは、だいたい購入するよりはレンタルで着ることが多いだろう。

2023.08.02 読む、服の知識・歴史

E|EVENING WEAR, ESPADRILLES, EYEGLASSES

イブニングドレス、エスパドリーユ、そしてメガネ

ケーリー・グラントのように、フランク・シナトラは
本当の意味で服を身につけることへのこだわりを表現することが好きだった。
彼はこう言った。
「タキシードは私の人生そのものだ。招待状のドレスコードが
『ブラックタイオプショナル(=タキシードはご自由に)』であるときは、
決まってタキシードを着るのがいつだって安全だ。」

E | イブニングドレス(Evening wear)

ディナースーツ(アメリカではタキシードと呼ばれるスーツ)などの正式なイブニングドレスは、だいたい購入するよりはレンタルで着ることが多いだろう。しかし、もし年に数回でも着る機会があるのであれば、間違いなくアイビー信者のワードローブには一着入れておく価値がある。
今はいろんなスタイルが存在するが、クラシカルなものとしてジャケットは黒のシングルもしくはダブルブレステッド、ラペルにはシルクサテンかグログラン生地のショールラペルもしくはピークドラペルのものがほとんどだ。しかし、あるトレンドセッターの影響は今も残っており、ディナースーツの色として黒の代わりにミッドナイトブルーを好む者もいる。今は亡きウィンザー公爵が、ミッドナイトブルーは最もディナージャケットを引き立てる色であると断言した。彼の優れた目によれば、人工光の下では黒は緑のような色味になるが、比べてミッドナイトブルーは黒よりも黒く映る。彼の着るものは、人々にとってのファッションの教えとなっていった。1930年代には、彼の影響でダブルブレステッドのディナージャケットがトレンドとなり、ベストやチョッキを着ることがなくなった。さらには、ドレスシャツにも影響を与えており、ウィングカラーに硬い生地のシャツが当たり前であった中で、彼は着心地いい柔らかい生地にプリーツの付いた折り襟シャツを普及させた。
鎌倉シャツの数あるコレクションの中でも、満足のいくドレスシャツやアクセサリーを見つけることができる。

伝統的な装いとして現在でもディナースーツにはドレスシャツにボウタイ、カマーバンドを合わせる。しかし私は、ジーンズにボタンダウンとボウタイを合わせたことがある。
恐らく正解のコーディネートではないだろうが、とても着心地はいい。
もう一つの目を引くセミフォーマルとしては、ディナースーツトラウザーズにスモーキングジャケットの組み合わせだ。定番のディナースーツには、ボウタイとカマーバンドにコントラストのある色もしくは柄を用いるのが良いだろう。ワンポイントになるチョッキを着るのもいい。ディナースーツのトラウザーズにはベルトループはなく、一般的にサスペンダーで着る。裾を折り返すこと絶対になく、脚のラインに沿って付けられるサテンの縫い目(側章)は、将校の制服に付いていたブレードの名残りなのだ。
仕上げの靴は定番のオペラパンプスもしくは、シルクの靴下にシルクの靴紐を合わせたパテントレザー(※)オックスフォードのどちらかだ。もちろん、全てのイブニングドレスで型式ばった格好をする必要はないが、私の考えとしては着ていく先の場面に合ったディナースーツを着ることは間違いなく喜ばれる装いとなるだろう。

※パテントレザー:エナメル加工のされた天然皮革

E | エスパドリーユ(Espadrilles)

一般的にエスパドリーユは、キャンパス地のアッパーに麻糸やロープで編まれたソールで構成されるシンプルなフラットシューズのことを言う。主に、スペインやフランスで漁師や農家、職人が履く靴として作られていた。南アフリカでも履かれており、「アルパルガータ」という名前の靴としてとても人気だ。

今から言う話がかなり鼻につくことを先に詫びておきたいのだが、数年前、いや、もう何年も前に南フランスへ旅行に行った時のことだった。丘の頂上にあるラマチュエルという村に泊まりサントロペ(※)に足を伸ばした。中心地を出たすぐの細い脇道に昔からあると思われる小さな店があり、そのショーウィンドウには1940年か1950年代のものであろうヴィンテージのエスパドリーユが置かれていた。オフホワイトのキャンパス地にロープで編まれたソールの付いた定番の形だが、足首に巻きつけ固定するレースが付いていたのだ。ローマンサンダルのようなデザインのこの靴は、何が嬉しいって私の足にぴったりのサイズだったのだ。悲しいことにいつかの引っ越しの際に無くなってしまったが、、、
※サントロペ:フランス南部に位置する村であり、世界中のスターたちが別荘を構えるほどの高級リゾート地である。

エスパドリーユは、今では完全にユニセックスの靴であるが、1940年代に映画の主演女優たちがこの靴を履いてカメラに写るようになるまでは全く人気ではなかった。最も有名なのものは、1948年に The Lady from Shanghaiという映画の中でリタ・ヘイワースが白のエスパドリーユを履いたことだ。また、同年の作品であるKey Largoではローレン・バコールが履いていたのも有名だ。一度これらの映画を観れば全員がエスパドリーユを欲しがった。今はスタイリッシュなエスパドリーユを作っているブランドがたくさんあるが、アイビールックにぴったりと言える逸品はTomsのアルパルガータエスパドリーユだ。伝統的なロープソールにネイビーのストライプ柄のキャンパス地。足の甲の部分にはV型に伸縮性のあるパーツが施されているのだが、これが本当にいい仕事をしている。どのエスパドリーユを履こうと、暑い夏のビーチにはぴったりなアイビールックとなるだろう。

E | メガネ(Eyeglasses)

メガネについて語ることは小さなことへの拘りのように見えるかもしれないが、アイビールックを着こなしたい人がコーディネートを完成させるには、メガネは最も重量かつ最も高価な買い物になることに違いない。帽子やメガネは着けた瞬間からあなたの独自のスタイルを相手に知らせるアイテムなのだ。自然なエレガントさを出したいのであれば、良質なアルミ素材のオーバル型メガネに尽きる。ジョルジオ・アルマーニーがこんな風に言ったことがある。「私にとってメガネは、それなくしてスタイルが決まることがないものであり、自分自身を写す鏡である。軽量でデザイン性のあるものであれば、それは着ける人の一部となる。」もちろん、フレームの形に関して幅広い選択肢を持てる顔の人もいる。コルビジェにクリスタル、ホーン、アビエーターなど。いくらでも種類はあるが、私の思うアイビールックを完全に完成させてくれるメガネは、黒のホーンリム、ワイヤーフレーム、そしてべっ甲メガネの3つだ。これらは、いつでもどこでも、そして誰でも合わせることのできる定番だ。

ここで一つ、ある象徴的なメガネ屋について触れておきたい。悲しいことに今はもう閉店してしまったが、ニューヨークのマディソンアベニューにA.R.Trappというメガネ屋があった。彼らによって作られたP3というユニークで太いプラスチックフレームのメガネは店の看板商品となり、1960年代のマディソンアベニューを象徴するアイテムの一つとなった。彼らが持つ数多くの種類のプラスチックやワイヤー、べっ甲フレームのメガネがとにかくアイビー信者たちに愛されたのだ。彼らの上質なカスタムメイドのフレームは世界でトップクラスの評判を得たのだった。


次は、F。

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