2025年6月のヨーロッパ出張 Vol.5
さて、続いてイタリア・コモで私とコバぶろぐでお馴染みの小林が向かったのは某F.F社である。
今これを書いているのは、2025年6/25(水)の2:30を回ったところで、日本に帰国して自室からこのブログを書いている。(完全な時差ボケですね)
前回のブログでは、S.B社のネクタイ生地を『ポルシェ』のようだと表現したのだが、
車に興味を持っていない方もいらっしゃると思うので、いくつか他に例えを挙げてみたいと思う。
時計に例えるなら『パテック・フィリップ』、シャツ生地なら『ALUMO』、ワインなら『ロスチャイルド』、パターなら『エシレ』、和食なら『菊乃井』といった感じだろうか。


※下記一覧で、品番がGBから始まるネクタイが、現行の該当アイテム
ここまで書いていて、村上龍がどこかで言っていた「田舎者」の定義として、「未知で分からないものを、自分の尺度でつい図ってしまう」という話を思い出したのだが、それとは別の話であることを願いたい。


さて、続いてイタリア・コモで私とコバぶろぐでお馴染みの小林が向かったのは某F.F社である。


F.F社のネクタイ生地は、車に例えるなら『フェラーリ』、シャツ生地なら『カルロ・リーバ』、時計なら『オーデマ・ピゲ』、ワインなら『サッシカイア』、生ハムなら『クラテッロ』、チーズなら『ブラータ』等が挙げられるかもしれない。

※下記一覧で、品番がGFから始まるネクタイが、現行の該当アイテム
F.F社の生地は、S.B社に並び世界一素晴らしい生地に違いないのだが、均一さよりも深い味わいを優先させた先に見える、儚さを伴った美がそこにある。

私が好きなワイン(と偉そうに言っても私はお酒を飲まないが)の一つに前述したイタリア・トスカーナ地方のボルゲリという土地から生まれたサッシカイアがある。

イタリアには、ワインを作る上で土地ごとに D.O.C、D.O.C.Gなど言われている厳しい基準が課せられているのだが、サッシカイアは大胆且つ自由奔放な精神で、それらを無視してワイン作りを始めた。
イタリアのワインは土地ごとに大きな特徴があって、どれが美味いとか不味いとかではなく、その土地の葡萄品種を使うことを義務付け、そして、その厳しい基準をパスした物に、D.O.C、D.O.C.Gなどの称号が与えられる。
D.O.C、D.O.C.Gなどの基準に達しない物は、例えばV.d.T(ヴィーノ・ダ・タヴォラ)というテーブルワイン格付けがあるのだが、何を隠そう、今では世界的な名声を得ているサッシカイアはこの最低基準(美味い・不味いではなく、あくまで基準上)からスタートしたのだ!

サッシカイアを産んだマリオ伯爵は、イタリアのトスカーナにいながらフランスのボルドー・ワインをこよなく愛する変人で知られていたのだが、第二次大戦中にフランスのワインが手に入らなくなったことをきっかけに、五大シャトーの一つであるシャトー・ラフィット・ロスチャイルドから譲り受けたカベルネ・ソーヴィニヨン種の苗木を、今では世界的な聖地となったボルゲリの「テヌータ・サン・グイド」に植えて、謎のワイン作りを開始したのである。

イタリアのワインはその土地の葡萄品種を頑なに守り、真面目な物作りをした結果として、D.O.C、D.O.C.G等の称号を得ることが出来るのだが、マリオ伯爵は名誉や地位よりも自らの直感と感性を満足させるワイン作りに興味があったと言えるだろう。

今では、サッシカイアと言えば泣く子も黙るスーパー・トスカン(特別で高級なトスカーナのワイン)を代表する銘柄なのだが、マリオ伯爵が既成概念を取り払い、選んだ、全く新しい自らの道を進むにあたり、大きな批判や障害があったことは容易に想像出来る。
しかし、いつの時代も新しい世界を切り開く、イノベーターと呼ばれる人達は、他人や世論ではなく、自らの直感と感性を信じて行動した結果、世界を変えていったのである。
F.F社を訪問する度に、またその世にも美しい生地を見る度に、イタリアから輩出される多くのイノベーター達に敬意を払ってやまない。
つづく


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