2025年6月のヨーロッパ出張 Vol.4
前回のVol.3はフランス・ニース編だったので、今回はイタリア・コモ編を書いてみたいと思う。
今これを書いているのは2025年6/20(金)の現地時間17:00を回ったところで、ミラノからロンドンへと向かう機内である。
前回のVol.3はフランス・ニース編だったので、今回はイタリア・コモ編を書いてみたいと思う。
フランスにはニースやコート・ダジュールがあり、イタリアにはアマルフィやカプリ島を始めとした本格的なビーチ・カルチャーがあるのだが(それぞれ他にも無数にある)、スイス国境近くの北部に位置するコモ近郊には美しい湖が点在している。

ここは、「レイク・カルチャー」である。
このブログを読んでくれている読者には、聞いたことのない言葉かもしれないが、日本にも河口湖や、山中湖など多くの素晴らしいレイク・リゾートがある。
つまり、海、山、川や湖など美しい(物流などにも便利な場合含め)自然環境に惹き寄せられた人達が、そこに快適な環境を作ることによって、カルチャーや文化が生まれるのである。
コモ周辺は、山に囲まれた美しいレイク・リゾートで、世界中の人々を魅了している関係上、近年はオーバーツーリズムも大きな問題になっているのだが、同時に、シルク産業に関わる者として、聖地であり続ける特別な土地でもある。
レイク・カルチャーを作る人々は、南アルプスの豊富な雪解け水からシルク糸作りや染色を行い、この地で他に類を見ないような美しい生地を織り上げていく。
そして、この地にこだわりを持ち、生地に誇りを持った人達が「Lago di Como as No.1 for silk fabric」という世界を作り出し、その地位を揺るぎないものとした。
美しい(レイク)カルチャーが、次の素晴らしいカルチャー(シルク生地)を生み出し、現在においても世界のトップメゾンを中心に多くの顧客を魅了しているのである。
鎌倉シャツでは、もう1人の創業者である貞末タミ子が初めてコモに来てから、およそ20年もの間、この地で美しいシルク糸に囲まれて仕事をしている。
現在、鎌倉シャツがコモで取引をしているファクトリーは約5~6社あるのだが、その多くは世界でも屈指の生地作りをしている指折りのところばかりだ。
まず、私と小林が最初に訪問したのが、もう15年以上にも渡って取引をしている某S.B社である。


担当兼トップデザイナーを務めるのはアンナさんで、かつてはニューヨークでラルフ・ローレン本人の側で仕事をしていたり、ラルフが同社を気に入り、彼の特別なラインであるパープル・レーベル向けにも生地を供給していることでも知られている。



鎌倉シャツでも長年、こちらの生地を使って究極のネクタイを作っているのだが、顧客の方にはご存知ない方がいらっしゃるかもしれない。


※下記一覧で、品番がGBから始まるネクタイが、現行の該当アイテム
同社の生地は、世界でも屈指のシルク糸を使って、世界一とも呼べるキメの細かさと織りの美しさを誇っている。
均一に、美しく、正確に織られているのだが、無機質ではない。
不思議だ。
シルク織物を均一に織り上げること自体は、他のファクトリーでも出来るのだが、同社の生地は独特の美しさを奇跡的に保っている。
言葉ではうまく説明出来ないのだが、正確無比でありながら、張り詰めた美しさがある。
車で例えるなら、「ポルシェ」のような生地作りをするのが同社であり、誰にも真似が出来ない品質の生地を100年以上に渡って作り続けているのである。
つづく

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