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美味しんぼ考察 Vol.2

さて、今回の美味しんぼ考察は、先日の上海出張で様々な体験をし、それなりにおいしい中華料理もいただいたのだが、私が一番感動したのは、何を隠そう日本が誇るチェーンストアである「サイゼリヤ」だった。

2025.06.06 貞末哲兵コラム


今このブログを書いているのは、2025年5/31(土)の19:00を少し回ったところである。

ブログを書くのは脳が一番元気な状態である朝が多いのだが、気分によっては夜に書くこともある。

とはいえ、ブログの原型となる文章は朝以外には書くことはなくて、夜行うのはあくまで文章の構成や添削など作業的なことが中心となる。(ご参考まで)


さて、今回の美味しんぼ考察は、先日の 上海出張 で様々な体験をし、それなりにおいしい中華料理もいただいたのだが、

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今回の上海訪問は、3泊4日という限られた時間の中で現地を見て回ったのだが、非常に充実した出張であったと感じている。



私が一番感動したのは、何を隠そう日本が誇るチェーンストアである「サイゼリヤ」だった。




サイゼリヤは日本国内で1,000店舗以上を展開し、中国でも上海、北京、広州、香港などのエリアに450店舗を展開している。


私は中国には10年以上前から出張で通っていながら、実はサイゼリヤに入ったのは今回の上海出張が初めてであった。

率直な感想は、「おいしい」「安い」「早い」はもちろん、上海の方々がとても嬉しそうにしていたことが印象的だった。


「楽しい」「おいしい」「早い」「安過ぎる」というのが正解だろうか。


鎌倉シャツの創業者 は驚愕のマーチャンダイジングを掲げ、我々は今も実行しているが、私は中国のサイゼリヤには顎が外れただけでなく、その素晴らしさに膝から崩れ落ちる衝撃を受けたのだった。


貞末哲兵コラム「鎌倉シャツ創業者との対話」シリーズ



「なぜこんなに素晴らしいことが実現可能なのだろうか?」


その感動や驚きが脳裏を駆け巡った。


コロナになってから爆発的に読書をしていた頃、『おいしいから売れるのではない 売れているのがおいしい料理だ』というサイゼリヤの本を読んだことを思い出した。




当時、私自身がサイゼリヤを研究していた資料も読み返してみたのだが、改めてその大義と壮大なヴィジョンを語る創業者である正垣泰彦氏に敬意を表したいと思う。


「私は国内はもちろん、中国にも儲けに行ったのではない。私自身が感動したイタリアンという料理の素晴らしさを、出来る限り多くの人に味わってもらいたいのだ。」(正垣氏の想い)


また、巷では「果たして本当にサイゼリヤはおいしいのか?」という話がよくあるのだが、私にはとてもおいしく感じられる。

私はイタリアに住んでいたこともあるので、自分なりにおいしいイタリアンの基準は持っているつもりなのだが、サイゼリヤに感動してしまうのはそれなりの理由がある。


それには、『 美味しんぼ 第1巻「寿司の心」』を読んでもらえればお分かりいただけると思うので、下記にあらすじを書いてみることにしたい。




「究極のメニュー」作りに全くやる気を見せない山岡と新入社員の栗田を、大原社主、谷村部長、富井副部長が会食でもしながら話を聞こう、と銀座の超有名店である寿司屋「銀五郎」に誘う。

「銀五郎」は銀座でも一番と評判の店であり、主な顧客は政界や一流の財界人である一方、店主である銀五郎は客に怒鳴り散らし、威張りまくっていた。

その態度に山岡は反感を持ったのだが、栗田の方は銀五郎の高圧的な態度にすっかり萎縮してしまって寿司を注文出来ないでいた。

それがまた銀五郎の驕り高ぶりに火をつけ

「貧乏人の小娘は自分がなにを食いたいのかもわかんねえのか」
「ウチみたいな超一流の寿司はあんたにはまだ早い」
「スーパーのパック寿司が似合ってる」

などと散々に馬鹿にされる。(現在ではハラスメントになることは言うまでもない)

「ウチの寿司を食いたがって大勢来やがるが、食う資格のある客はほんの僅かだ。
ウチはネタも最高、シャリも最高、何よりこの俺の腕がね、だから一流の人間でなきゃ俺の寿司を食う資格はねえのよ。」

出典:『美味しんぼ(1)』 作:雁屋 哲 画:花咲アキラ/小学館

そこで、山岡は
「このオヤジの言うとおりだ。 スーパーのパック寿司を食え。」
と言い放ち、ショックを受けた栗田だったのだが、山岡の真意は別にあった。

「確かにネタは最高、シャリも最高。だがな、肝心のお前の腕が最低だ。」

と山岡は言い放ったのだ。

出典:『美味しんぼ(1)』 作:雁屋 哲 画:花咲アキラ/小学館

怒り狂う銀五郎だったが、山岡と東西新聞一行は、かつて銀座一と謳われた「しんとみ寿司」(現在は佃島)に連れて行き、「寿司対決」をすることになったのである。

出典:『美味しんぼ(1)』 作:雁屋 哲 画:花咲アキラ/小学館

東西新聞の社主である大原は、銀座の「しんとみ寿司」に何度か行ったことがあるようで、
「おお、富二郎じゃないか。 なんでこんなところにいるんだ?」

「これは大原さん、ご無沙汰してます。社用族とか、銀座のお偉いさん達相手に寿司を握るより、ここでね、気心知れたお客さん相手に真心込めて握らせてもらう方が幸せなんです。」

富二郎は、日々限られた特別な人達だけに握る寿司に嫌気を感じ、銀座の店をたたみ、佃島に店を構えていたのである。


そして、寿司対決は行われるのだが、満票の大差で「しんとみ寿司」に軍配はあがり、銀五郎は大敗を喫する結果に終わった。


寿司はネタとシャリの組み合わせであるが故に、「真心こもった優しい手」で握らなくては、ふっくらと仕上げることは出来ない。

一方、「驕り高ぶった手」で握った寿司は、べったりとし、お互い(ネタとシャリ)の個性が主張し過ぎてしまい、ただの魚の切り身と米、バラバラの単体になってしまうのである。


(以上、『美味しんぼ 第1巻「寿司の心」』あらすじ)



私がサイゼリヤに感じた「なぜこんなに素晴らしいことが実現可能なのだろうか?」には、おいしいだけじゃく、創業者である正垣泰彦氏の「真心」を上海の地にまで届かせていることにもあった。


その想いは、私が気付くよりも遥かに早いスピードで上海の人達に届き、彼らの常識を変え、世界を変えていったのである。


そして、私は改めて、創業者である貞末良雄が作った「真心」や「太っ腹な精神」を「日本製でありながら、6,900円という価格を実現している鎌倉シャツ」に見出すことができたこともここに付け加えておきたいと思う。



つづく

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