アイビールック の A to Z【C】
私はカーディガンを4つ持っているが、どれも色合いの違うネイビーブルーだ。一番古いもので20年前のもになるが、これはいい買い物だった。
C｜Cardigans, Chinos, Collar styles and Converse
カーディガン、チノ、シャツのカラースタイル、そしてコンバース
※ ”Dapper”とはスタイリッシュできちんとした身だしなみを意味し、
”Hip”は特定のトレンドに精通した人に使われているスラングである。
スタイリッシュで流行にも敏感である様を、”dapper”と”Dan”、“Hip”と”Harry”という韻を用いて表現している。
私はカーディガンを4つ持っているが、どれも色合いの違うネイビーブルーだ。一番古いもので20年前のもになるが、これはいい買い物だった。カシミヤを3PLYで編み上げたショールカラーのもので、フランスのフォトグラファーのジャック＝アンリ・ラルティーグ（1894-1986年）が着ていたスタイルだ。アルパカ素材のべルスリーブにラムウールの太いリブ、ショールカラーと、深いポケットの付いたカーディガン。これはカーディガンというよりはジャケットに近く、スティーブ・マックィーンとジョン・F・ケネディー大統領もお気に入りだった。最も最近私のワードローブに追加されたものは、クラシックなVネックカーディガンだ。ロックダウン中の私の誕生日に妻が編んでくれた。チノに関しては、私は生涯ずっと完璧な逸品を探し続けている。私は普通のスニーカは持っていないが、使い古した黒のハイカットコンバースなら持っている。いつの時でもこのアイテムはアイビークラシックなんだ。私の持っているシャツのほとんどはボタンダウンかタブカラーなのだが、これが問題だ！ご存知の通り、鎌倉シャツには伝統的かつフォーマルなスタイルがもっと存在するのだから。
“猫が驚くような格好をするな”― P.J.O’Rourke
私がこれに反してしまったのは、ディック・ヴァン・ダイクのせいだ。私がアルパカのベルスリーブカーディガンに取り憑かれたのは、ヴァン・ダイク氏が彼のテレビドラマ ”The Dick Van Dyke Show” のある回の中で着ていたのを見てからだ。このドラマは1961年10月3日から1966年6月1日まで放映され、アイビールックが詰め込まれた一作である。この影響を受けて、成功はしなかったが、手編みのカーディガン作りにも挑戦した。最終的に私は、少しずつ、この他にはないクールなカーディガンをいくつも揃えたのだ。しかし、どれも決して安くはない。ロンドンのジャーミンストリートにある有名なブランド、Harvie and Hudsonでは思わず欲しくなってしまうほど魅力的なカラーバリエーションのカーディガンを売っていた。ピンクからネイビーのバリエーションに加えて、それぞれの中間となる色まで。私が唯一今でも持っているのはネイビーだ。もうとっくになくなってしまったが、ロンドンのバーリントンアーケードにあったLordsという店で買った。彼らは６PLYのカシミヤで編まれたショールカラーのカーディガンも置いていた。最高級の暖かさと上品さがあるものだ。値段なんて聞くもんじゃない！
その時一方で、ロサンゼルスから少し行ったところの砂漠の真ん中では、フランク・シナトラがベルスリーブカーディガンに着替えていた。彼がシナトラ軍団で着るシャークスキンのアイビースーツがベルスリーブカーディガンに入れ替わったのだ。彼らがラスベガスのサンズホテルでRing-A-Ding-Dinのライブを終えてすぐのことだった。ハリウッドでアイビーを愛するヒップスターたちの間での出来事だった。
皮肉なことに、カーディガンはどの形やスタイルを取ってもすべてアメリカのアイビーリーグファッションの一部となる。しかし、カーディガンはイギリス生まれなのだ。その名は、第７代カーディガン伯爵のジェイムズ・ブルーデネルから付けられた。彼は、クリミア戦争のバラクラヴァの戦いで軽騎兵の突撃を命じたイギリス陸軍の小将である。この出来事は、アルフレッド・テニスン氏の作品によって後世に名を残した。カーディガンは元々、イギリス軍の将校たちの制服として着られていたニット編みのベストがモデルとなっているのだ。戦後このベストが有名となり、イギリス国内やアメリカのみならず、数多くの国で着心地の良い便利なアイテムとして多く着られ、模範されるようになった。カーディガンはその素材が軽いコットンもしくはウールやカシミヤであろうが、またもや編みの種類がチャンキーリブやフェアアイル、柄がスポーツクラブを象徴するストライプや文字であろうが、その多様性や機能性はアイビーを着る仲間として認められる証となる。
トラウザーズの話となると、本当の意味で、時代を超えてアイビールックの世界へのパスポートとなるトラウザーズは一つしかない。それは、カーキのコットンドリルチノだ。ルーズにダボつかせ裾をすり減らせていい。折り目は入っていても入っていなくても良い。靴はスニーカー、デッキシューズ、もしくはローファーがいいだろう。これが、鎌倉シャツのオックスフォードボタンダウンシャツとよく合うんだ。タックイン、もしくはシャツを出して海辺を歩きながら風になびかせても良い。マーサズ・ヴィニヤード(※1)か、鎌倉、もしくはブライトン(※2)の海だろうか。そこは旅行の予算に合わせて。カーキチノは、今も昔もとにかく幅広く使える。もし今でも見つ出すことができものであれば、私の一押しは1950～1960年代にアメリカ陸軍のスタンダードであった、ボタンフライのコットン100％カーキパンツだ。これ以上のものはない。ある男が言ったように、まさに時代遅れでもあり、最先端でもあるのだ。一つ、覚えておいて欲しいアイビーのチノに関する重要なディテールがある。アイビーのチノにフロントプリーツはいらない、ファッション評論家がなんと言おうと。そして、カーキーパンツは少し短くあるべきだ。
(※1)マーサズ・ヴィニヤード：アメリカ合衆国のマサチューセッツ州にある島
(※2)ブライトン：イギリスのイングランド東南部に位置する都市
1908年にマサチューセッツ州のモールデンで創立されたConverse Rubber Shoe Companyは、全アメリカのモダンクラシックを担っている。ConverseのCHUCK TAYLORのハイカットバスケットシューズに、履き崩したカーキパンツを合わせればこれ以上にないコンビネーションだ。ゴム底のキャンバスシューズを履き、ローテク（※）なアイビーのかっこよさを知ることだ。 ※ローテク（スニーカー）：主に天然素材の綿やレザーを糸で縫い付けゴム製のソールを付けた、原始的な造りのスニーカーの名称。Converseはローテクスニーカーの代表的ブランドである。
これはもちろん様々な意見があるが、ボタンダウンカラーはアイビールックに欠かせないものとして広く受け入れられており、間違いなく最も軽やかな襟型だ。ナチュラルショルダースーツと、ヘリンボーンのツイードスポーツジャケットとは完璧な相性を持っている。このシャツにシルクのブラックナロータイを締めればビジネスの装いとなる。もしくは、第一ボタンを外し綺麗な襟のロールを引き立てて着る。鎌倉シャツのVINTAGE IVYコレクションではほとんどがボタンダウンとタブカラーで作られてはいるが、言うまでもなく、鎌倉シャツは幅広いバリエーションの襟型と、他では手に入らない生地でシャツを作ってきた先駆者として有名だ。彼らは、小さなディテールによって生まれる違いを十分に理解しているのだ。
次は、D。ダッフルコート、ダウントレイルベストとデニムにしよう。
GM
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