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Q&A vol.3

鎌倉シャツのクリエイティブの未来について

2025.11.21 ブログ

今、このブログを書いているのは、2025年11/18(火)の早朝で、11月中旬にもなると日の出の時間が遅く、外はまだ暗い。



今回のQ&Aは、鎌倉シャツの若きジェネラル・マネージャーである大出勇真からなのだが、質問のレベルは非常に高く、かなり深い内容となっており、私自身も大いに勉強する機会をいただいたことに感謝申し上げたい。



それでは早速、本題に移っていきたいと思う。


Q5. 鎌倉シャツのクリエイティブの未来について

養老孟司先生の『バカの壁』、パタゴニア創業者イヴォン・シュイナード氏の『社員をサーフィンに行かせよう』、

山口周氏の『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』など、“副社長課題図書”を拝読し、さまざまに考えを巡らせております。



これらの書籍に共通しているのは、「直感(五感)を大切にする」という価値観だと感じています。

一方で、ビジネスにおいては、その直感を言語化し、仲間に共有し、納得してもらい、最終的に成果につなげるプロセスが求められます。



しかし、その過程で、誰かが感じた直感の“とがり”や“独自性”が少しずつ削られ、最終的には誰にでも理解しやすい、

丸みを帯びた一般論に変わってしまうこともあると感じています。

結果として、本来の直感の核心が薄まってしまうこともあるのではないかと思います。

幸い、当社にはアートを司るチームがあり、「アートは反証がない」と言われる中でも、表現の余地や自由が尊重されていると感じています。



その上でお伺いしたいのですが、クリエイティブディレクターとして、今の鎌倉シャツのクリエイティブの在り方、

そして今後どのような方向性を目指すべきとお考えでしょうか。


A. 直感と感性をどう磨くか――六波羅蜜から考える鎌倉シャツのクリエイティブ論

A. たくさんの課題図書を読んでくださり、ありがとうございます!

また、先週は円覚寺で行われた世界的禅僧である横田南嶺老師による体感型研修もお疲れ様でした。


横田南嶺老師からのお話にあった「般若心経」の正式なタイトルは「摩訶般若波羅蜜多心経」で、

「摩訶」は偉大なる、「般若」は知恵、「波羅蜜多」は彼岸(悟りの世界)、「心経」は教典ということでしたね。

今回の老師の話にはなかったのですが、波羅蜜多(悟り)へ至るまでには、六波羅蜜と呼ばれる6つの大切な実践と修行があるそうです。

京都には六波羅蜜寺というお寺もあるくらいなのですが、一つずつ一緒に見ていきましょう。


— 六波羅蜜 —
布施
見返りを求めない施しをすること
持戒
正しい生活をし、自らを律すること
忍辱(にんにく)
苦境を耐え忍ぶこと
精進
たゆまず、ひたすらに努力すること
禅定
瞑想し、心を落ち着かせること
智慧
真理を見極める知恵を完成させること

「だるまさんが転んだ」で有名な達磨大師は、この6つの中にある「禅定」という要素にを注目、強調し、インドから中国に渡り、日本で花を開いたのが禅宗です。



その後、禅はアメリカに渡りZENとなり、マインドフルネス等に変化し続け、進化していきました。

養老先生、イヴォンさんや山口さんがおっしゃっている「感性」、「直感」などは、本来人間が基本的に備え持っているデフォルトの能力のことなのです。



私自身は(実は)仏教徒ではないのですが、六波羅蜜を実践、もしくは智慧として理解しておけば、

本来人間が持っている感性や直感は自ずと研ぎ澄まされていくのではないかと思っている次第です。
何もアートを司るチームや、クリエイティブ・ディレクターなる人物だけが持っているわけではないのです。

全ての部署や、担当の方々が本来持っている感性や直感を80%くらいまで生かし、残りの20%くらいをAIやGeminiに頼る会社を作ることが、私にとっての最大のクリエイティブと呼べるものかもしれませんね。



また、現在の鎌倉シャツのクリエイティブについてですが、クリエイティブ・ディレクターなる私自身が直接関与する領域をなるべく少なくしているからこそ、良くなったと感じているお客様や社員が多いように思っています。(関与しようがしまいがお客様は全く気付いていらっしゃらない)イヴォン・シュイナードが自ら実践するMBA、「マネージメント・バイ・アブセンス」こそが個々の感性や直感を呼び起こし、最大のクリエイティビティを発揮する集団を作るのだと思っています。



「不在によるマネージメント」、この文脈は、日本ではタブーとされ、ほとんど語られていませんが、

組織や正論を盾にクリエイティビティを阻む経営者は多く、日本のパワー損失、失われた30年の引き金にもなったと私は考えています。



もちろん、なんでもかんでも放任すれば良いということではなく、クリエイティビティには「異なる体験」が常に必要とされ、それこそが画一化、山口周さんのおっしゃるコモディティ化を避ける唯一の手段なのかなと感じています。



つまり、全ての人間が本来持っている、直感を呼び起こすために何が出来るかが最も大切であり、それは、唯一、「異なる体験や、良質な経験だけがもたらす産物」ということになるのです。



避けるべきは、皆と同じ体験、他の人と同じような経験であり、コモディティ化を避け続けるために、幹部社員全員が意識するべき大切な事象だと思っています!

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