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鎌倉シャツもう1人の創業者との対話 Vol.8

先日、あるセミナーで今をときめく「SHIRO」の福永社長のお話を伺う機会があり、いくつかご本人に直接質問することも出来た。

2024.08.30 貞末哲兵コラム



今、これを書いているのは2024年8/6(火)の7:30くらいで、先ほど、創業者との対話Vol.8を書き終えたところである。



最近、ある マインドフルネス の本を読んでいた時に書いてあったのだが、文章を書くことはそれ(マインドフルネス)に近い、というような内容だった。

マインドフルネスは、日本の貴重な文化であるZENがアメリカで解釈され、独自に進化したものだが、簡単に言うと「今ここ(ZEN IS RIGHT HERE)」※ ということになる。

※書籍のタイトル「禅は、今ここ。 Zen Is Right Here 1960年代アメリカに禅を広めた、鈴木俊隆の教えと逸話」より


書籍『Zen Is Right Here 禅は、今ここ。』




なるほど、文章を書いていると「今ここ」に集中することが出来る。

そういった意味では、私にとって文章を書くことは瞑想に近いのかもしれない。



さて、それでは本題に入りたいと思うが、先日、あるセミナーで今をときめく 日本の自然派コスメティックブランド「SHIRO」の福永社長のお話を伺う機会があり、いくつかご本人に直接質問することも出来た。


SHIROオフィシャルサイト



SHIROさんは、北海道の砂川市というローカルを極めたエリアに「みんなの工場」を設立し、ブランディングを兼ねながら地域貢献し、非常に高いレベルで地方創生を実現する会社として、多くのファンや企業から注目されている。




彼らは広告宣伝に一切お金を使わず、商品作りに全てのエネルギーを集約しているそうで(鎌倉シャツに似ている)、市場や他社の動向を見ながら、売れ筋を探る手法であるマーケット・インではなく、自らの内面に耳を傾け、本当に良いと思った商品だけを世に送り出す手法であるプロダクト・アウトを主体としている。

通常、化粧品メーカーは年間30〜40くらいの新製品を発表するらしいのだが、SHIROさんは100以上の商品をリリースしていて、広告宣伝費を使わない代わりに、多くの商品を世に送り出すことによって、「顧客とのタッチポイント」を増やすというお話をされていた。


人々の趣味趣向は人によって異なるため、なるべく多くの種類の商品を作り出すことによって、顧客との接点(タッチポイント)を増やすという手法である。
在庫リスクの問題などもあると思われるのだが、そこは鎌倉シャツと同様に多品種小ロットの生産体制を取ることによって、ビジネスを循環させている。

圧倒的な商品数を作ること、それ自体が他社との違いを生み、それは顧客とのタッチポイントを生み出すだけではなく、売り場の鮮度を高く保つことが可能になる。


話を聞いていると、だったら、他のメーカーも小ロットでたくさん商品を作ればいいじゃないか、と思われるかもしれないが、商品企画の実力がそのまま会社の売り上げ、在庫リスクなどの命運を分けることになり、まさに、言うは易く行うは難し、とはこのことであると思う。
また、マーケット・イン(売れ筋を追う)を考えない以上、商品企画をすることが出来るのは、SHIROさんが心から好きで、24時間プロダクトのことを考えられる人に限られるそうである。



鎌倉シャツの創業者 である貞末良雄は、利益のほとんどを商品企画に注ぎ込み、新しい商品を生み出すことを鎌倉シャツの軸としていたし、

貞末哲兵コラム「鎌倉シャツ創業者との対話」シリーズ



このブログの主人公である 貞末タミ子 は、プロダクトはもちろん、鎌倉シャツの接客を中心とした「サービス」を強烈なアウトプットとして考えていた。

貞末哲兵コラム「鎌倉シャツもう1人の創業者との対話」シリーズ



そう、彼女はプロダクトがお客様を喜ばすことを重々承知していながら、同等以上にサービスの力を信じていたのである。


私も業界問わず様々な方にお会いすることが多いのだが、商品よりも(良くて当たり前と思われている節がある)、店頭でのサービスをお褒めいただくことが多い。

皆さん、どのお店に行っても鎌倉シャツのサービスをお褒めいただけるのだが、これはかなり特殊なことではないだろうか。


鎌倉シャツのサービスについては「品がある」「適切な距離感の中に温かみがある」「アドバイスが的確である」など、嬉しいお話ばかりなのだが、他の小売業の方々もサービスに力を入れられている中で、このような評価をいただくことは、社員にとっても仕事冥利に尽きる思いである。

海外においては、高いサービスを受けたければ有料である場合が多いのだが、日本においては多くの場合、無料と考えられていて、高いサービスについても同様である。




2012年、鎌倉シャツがニューヨークに進出し、現地で五万人以上の顧客を獲得することが出来たのは商品だけでなく、「日本で培ってきたサービスの力」が現地で最高の評価を得たことに他ならない。

いずれにしても、今後も鎌倉シャツは更に質の高いサービスを目指していかなくてはならないのだが、もう一人の創業者の意思を繋いでいきたいと思う。


「お客様を感動させるのよ。」


もう一人の創業者が口癖としていた言葉を胸に、日本でその道を極め、いよいよ、来月鎌倉シャツはニューヨークに再上陸を果たす。


商品であれ、サービスであれ、それはお客様に感動していただく手段でしかない。

それらを極めていくのは我々がプロである以上、「仕事」である。

プロダクト・アウトもいいのだが、鎌倉シャツは「カスタマー・オリエンテッド」(顧客主義)でありたいと願う。




つづく

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