1. Home
  2. >
  3. ブログ
  4. >
  5. 貞末哲兵コラム
  6. >
  7. ZEN通信・第3回

ZEN通信・第3回

今回は、今をときめく若手僧侶NO.1と呼び声の高い兵庫県の大本山・須磨寺の副住職である小池陽人さんにインタビューさせていただきました。

2025.07.10 貞末哲兵コラム



顧客の皆様、いつも鎌倉シャツをご愛顧いただきありがとうございます。

いよいよ、初夏の日差しが眩しい日が始まりましたが、皆様におかれましてはいかがお過ごしでしょうか。

今回はZEN通信 第三弾ということで、今をときめく若手僧侶NO.1と呼び声の高い兵庫県の大本山・須磨寺の副住職である小池陽人さんにインタビューさせていただきました。


大本山・須磨寺の副住職 小池陽人さん



小池さんは、You Tube「小池陽人の随想録」 登録数が8万人を越え、多くのファンや信者の方に向けて日々素晴らしい発信をされています。




また、三者三様法話会(円覚寺の横田南嶺猊下と野沢龍雲寺の細川晋輔さんと行っている法話会)や、2年に一度開催される H1法話グランプリ(全国の僧侶の方々による法話のグランプリ)などその活動の幅を年々広げており、今後のご活躍にも要注目です!




仏教は6世紀にインド~中国~朝鮮半島~日本へと伝来しましたが、以降およそ1,500年もの間、日本人が日本人のために日本という国を住みやすくするために考え抜かれてきた宗教であり、文化です。
VUCA(*)が叫ばれる世界で、改めて「日本人として、日本文化や自己への探求こそが求められる時代」に突入したと言えるのではないでしょうか。

(*)Volatility (変動性):変化が激しく、予測が難しい状態。
(*)Uncertainty (不確実性):何が起こるか分からず、将来の見通しが立たない状態。
(*)Complexity (複雑性):多くの要素が絡み合い、原因と結果が分かりにくい状態。
(*)Ambiguity (曖昧性):状況の意味や解釈が不明確で、何が問題なのかもはっきりしない状態。

小池さんがいらっしゃる須磨寺は真言宗の大本山で、禅宗(ZEN)ではありませんが、日本文化やカルチャーという枠組みの中で、顧客の皆様にとって何かのヒントになれば、これに勝る喜びはございません。

それでは、本編の始まりです。




私  「小池さん、お忙しい中お時間をいただきありがとうございます。本日は宜しくお願い致します!」

小池さん「こちらこそわざわざお参りくださり、また、この度は貴重な機会をいただきありがとうございます。本日は宜しくお願いいたします。」


地域やローカルに根付いた素晴らしい文化



私  「須磨寺※には、今日もたくさんの熱心な信者さんがいらっしゃっていて、改めてお寺が持つ素晴らしいパワーを感じました。(※須磨寺は小池陽人さんが副住職を務める真言宗の大本山の一つ)




鎌倉シャツの本拠地である鎌倉には約110ものお寺があり、私も子供の頃は境内を走り回ったりしていました。大人になった今、改めてその魅力を見直したいと思っています。

私自身は、作務衣を通じて、鎌倉や京都など、全国の僧侶の方々と実際にお会いしていく中で、多くの素晴らしい教えに出会うことが出来ました。


作務衣 イージーケア カイハラデニム

29,700円 (税込・参考価格)



そこで、その素晴らしい教えや考え方を鎌倉シャツのお客様にも共有したい、という思いが芽生えまして、メールマガジン「MONTHLY KAMAKURA」※の特別編という形で「ZEN通信」を始めさせていただきました。(※鎌倉シャツのロイヤルカスタマーに月一で配信している読み物メールマガジン)

第一回は小池さんもよくご存知の横田南嶺管長猊下※、第二回は妙心寺・退蔵院の松山大耕さんにインタビューをさせていただいて、今回の小池陽人さんが第三回目という形になります。(※小池さんは三者三様の法話会で横田管長とご一緒している)


関連記事
ZEN通信 <前編>

ZEN通信 <前編>

皆様と一緒に学ぶ「古典であり、最先端カルチャーの世界」

関連記事
ZEN通信・第2回 <前編>

ZEN通信・第2回 <前編>

今回は京都の妙心寺・退蔵院の松山大耕さんにインタビューさせていただくことが出来ました。顧客の皆様の何かのヒントにな...



今日、須磨寺を見ていて感じたのは、たくさんの熱心な信者の方がお参りにいらっしゃり、地域やローカルに根付いた素晴らしい文化が「そこにある」ということです。」




小池さん「古くから須磨寺では人々の信仰心は非常に深いものがあり、高野山にもお参りしたかったのですが、当時は交通の便が悪く簡単には行くことが出来ませんでした。そのため、この地域で須磨寺は「須磨のお大師さん」と呼ばれていました。また、関西の方々は、弘法大師※のことを、親しみを込めて「お大師様」と呼んでいました。(※弘法大師=空海は真言宗の開祖)

当時は娯楽も少なく、お寺参りは人々にとって大きな楽しみ、喜びの一つでした。
縁日は、今よりも多くの店が出て賑わい、毎月一回の楽しみとして、お参りと買い物を兼ねて多くの人が訪れていました。震災前までは、2日間で5万人もの人が訪れ、境内を埋め尽くしていたそうですよ!

今日でも多くの人が訪れていますが、昔に比べると少しずつ減ってきているのは事実です。娯楽が多様化した現代では、縁日で買い物をする人は少なくなり、純粋な信仰心でお参りにいらっしゃる方がほとんどではないでしょうか。」


お寺本来の役割である「文化発信」



私  「純粋な信仰心が息づいているのは素晴らしいですね!鎌倉でも多くのお寺があり熱心な方も多く見られるのですが、このエリア(須磨)に須磨寺があることで地域の活性化に繋がっていると思いますし、お寺本来の役割である「文化発信」の根本を担っていると感じました。」

小池さん「お寺は、そうなんですよね。日本人の中に大切にしてきている文化でもあるので、私達のような比較的若い僧侶が頑張ることで、より未来へと繋いでいけるのではないかと思っています。」

私  「小池さんはそういった意味でもすでに素晴らしいご活躍や発信をされていますよね。You Tube※登録数は8万人もいらっしゃいますよね!」(※須磨寺小池陽人の随想録 https://www.youtube.com/@sumadera_koike




小池さん「ありがとうございます(笑)登録者数が増えてきて大変有難いのですが、私は、純粋な数というよりも、登録していただいている方々の熱意の高さや密度の濃さを自負させていただいています。」

私  「人によっては、とりあえずYou Tube登録という方もいらっしゃると思いますが、小池さんの場合は、私も含めて熱心に仏教の考えを知りたいと思っているはずです。
仏教の歴史は2,500年くらいあって、人間の叡智が詰まっているのですが、とっつきにくい、難しそう、という中で、小池さんのYou Tubeは初心者にも分かりやすく、またお話がとても上手なので病み付きになる魅力を持っていると思います。
「小池陽人の随想録」の登録者の一人として申し上げました(笑)」

小池さん「たまに、貞末さんからYou Tubeの感想のメッセージをいただいたりして、実は励みになっているんですよ!いつもありがとうございます。」

私  「そんな風におっしゃっていただいて、一ファンとしてとても嬉しいです!
私が仏教に興味をきっかけは「作務衣」だったのですが、そのおかげで小池さん含めたくさんの優れた僧侶の方に会う機会をいただき、さらに勉強しながら好きになっていきました。

まずは、このメールマガジンのタイトルにもなっている「禅」から興味を持ったのですが、色々と勉強するうちに真言宗の教えである「密教」にもとても興味が湧いてきました。」

小池さん「良いですね。好きになることが何よりも第一歩だと思います。」


空海が日本に伝えたこと



私  「ありがとうございます。密教は空海が日本に伝えたと思うのですが、小池さんから初心者の方に分かりやすく説明されるとしたら、どんなことをお話しになりますか?」

小池さん「密教以前の仏教では、欲を煩悩(我々の悩みの元)ととらえ、できるだけ無くそうとする教えでした。
一方、密教では「全てを包摂し、内包する」教えでして、欲をも内包してしまう幅広い考え方と申し上げればよろしいでしょうか。

一方、密教では「全てを内包する」教えでして、欲をも内包してしまう幅広い考え方と申し上げればよろしいでしょうか。」




私  「内包ですか?」

小池さん「はい。内包、つまり全てを受け入れた上で考えていきましょうという教えですから、欲自体を否定することもないんです。」

私  「えー!!仏教では欲を捨てることが大切だと思っていました。」




小池さん「密教はそうではないのです。欲を否定しないで上手く付き合うことの大切さを説いています。そして、出来る限り大きい欲をよしとします。」

私   「大きい欲ですか?年収数十億とかそういうのですか?」

小池さん「その類の欲は、金額が大きくとも小欲の部類に入ります。大きい欲とは、分かりやすく言えば私利私欲ではなく「地球平和」のようなことだと理解していただければと思います。」

私  「地球平和はかなり大きい欲ですね!願ってはいますが、本当の「欲」か、といわれると難しいかもしれません。」

小池さん 「そうですよね(笑)では、自分ではなく「親しい方の幸せ」なんかはいかがですか?」

私  「それは「欲」として持てそうです!」

小池さん「そうなんですよね。密教では欲の矢印が自分ではなく、外に向いていることが正しいとされています。出来る限り己でなく、他者に意識を持っていくことが大切です。」

私  「難しいですが、欲を完全に捨てることよりは出来そうです。」

小池さん「そうですよ!その気付きがとても大切で、欲は誰にでも発生しますが、その方向、向きを変えるだけで途端に物事が好転したり、軽くなったりするのですよ。」

私  「なるべく出来るように心がけてみます。」


密教と東洋哲学と西洋文化



小池さん「要は、真言宗の密教というのは「曼荼羅世界」を表しているのです。
曼荼羅とは何かと申しますと、先ほどから言っていますが、全てを内包することの教えなのです。」

私  「内包、大切ですね!受け入れることですね。」




小池さん「密教のすごいところはそこにありましてね、要はね、「異分子を排除しない」教えとも言えるのです。これは東洋哲学にも共通している考えと思います。」

私  「一方、西洋の文化というのは、勝ち負けだったり、淘汰していくような感じですよね?」

小池さん「はい。強い者が弱い者を淘汰しながら、最後は強い者が残るという文化です。
だからこそ、良い物が残っているとも言えますが、密教や東洋哲学の思想は違っていまして、全部内包してしまう教えです。
そして、その後に考えてみることがとても大切なのです。」

私  「素晴らしい教え方ですね!私自身も仕事をしていると部下もいて、ついつい求めるものが大きくなってしまう時があります。もっとこうして欲しい、私にも提案して欲しいなどと思いながら、そこが難しかったりします。

それは小池さんがおっしゃっていたように、結局その悩みの矢印が自分の方に向いているからなのでしょうね。私がこうやっているのに…と思ってしまっていると感じています。
もっと寛容にというか、内包し、受け入れるにはどうしたら良いのでしょうか。」


思い通りにならないという心理「一切皆苦」



小池さん 「実は、私もそうなのですよ。40人くらい職員さんいて、それをまとめていかなくてはならないのです。貞末さんと一緒です、周りの方にこうして欲しいと思うことも多々ありますよ。でも、思った通りにはなかなかならないですよね。」

私  「小池さんでも私と同じような思いや悩みがあるのですね。」

小池さん「はい。そこで、私自身が大事にしていることは、自分の力で出来る範囲と、自分の力ではどうにもならない 範囲を自分の中で見極めることなのです。」

私  「なるほど、悩みは自分でどうにか出来ると思うことから始まるわけですね。」




小池さん「あくまでも伝えることはできるじゃないですか、こうして欲しいと。
ただ、私には伝えるところまでしかできなくて、その人がそれを受け取って、その人がちゃんとやるかどうかっていうのは、その人にかかっているから、もう、自分の力が及ばない領域でもあるわけです。」

私  「非常に分かりやすく、自分の中での切り替えが出来そうな素晴らしい考えですね。」

小池さん「仏教には「一切皆苦」という教えがあって、一切は思い通りにならないという真理なのです。」

私  「一切を思い通りにしたいと思うのが人間の性ではありますよね。」

小池さん「はい。でもなかなか思い通りにいくことってないじゃないですか(笑)
一切皆苦は「思い通りにならない」ことを基準に生きていきましょうっていう教えなのです。」

私  「つまり、 我々はデフォルトが「思い通りになる」になってしまっているわけですね。」

小池さん「そうなのです。思い通りになることが当たり前だ、という風に勘違いすると、 思い通りにならないことに対してものすごい怒り、憤りを感じますが、お釈迦様は「思い通りにならないのがデフォルトですよ」と教えてくださっているのです。」

私  「思い通りにならない時に、そういうものだよなって思える人はなかなかいないでしょうね。思い通りにしたいという欲が常にある。」

小池さん「それは、悩み続けていくしかないのでしょうね。でも、一切皆苦の教えを知っているのと知らないのとでは、大きな違いがあるはずです。」

私  「一人で出来ることは限られているから、皆さんに頑張ってもらわないと成り立たないわけですしね。」

小池さん「そうですよ!思い通りにならないことをデフォルトとして、一切皆苦で持ちこたえていくことが大切です。
貞末さんもすぐに解決を急がないで、ちょっと耐え忍んでみてください(笑)」

私  「ありがとうございます。素晴らしい教えをいただきました。
さて、まだまだ、小池さんには色々とお話をお聞きしたいことがたくさんあるのですが、お時間もありますので本日はここまでとさせていただきたいと思います。
小池さん、本日は大変お忙しい中、お時間をいただき本当にありがとうございました!」

小池さん「こちらこそありがとうございました。是非、またお参りにいらしてください。」


コラボTシャツのご紹介



そして今回、兵庫県の大本山・須磨寺の副住職である小池陽人さんの思いを込めた、鎌倉シャツとの特別なコラボレーションTシャツが完成しました!




しっかりとした綿100%生地の胸元には、弥勒菩薩の象徴「ユ」の梵字・神聖なる法具「三鈷杵」・弘法大師の縁日「21」のデザインをプリント。左裾には、須磨寺×鎌倉シャツのダブル・ネームタグを付けました。




色は「白地×黒」「黒地×ブルー」の2色をご用意。サイズはS・M・L・XL展開、価格は税込6,490円。オンラインショップにて販売中です!


コラボTシャツ 須磨寺 × 鎌倉シャツ

6,490円 (税込・参考価格)

コラボTシャツ 須磨寺 × 鎌倉シャツ

6,490円 (税込・参考価格)



今回も最後までご覧くださり、ありがとうございました。
また、次回もこの読む鎌でお会いすることを心より楽しみにしています。


関連記事
ZEN通信・第2回 <前編>

ZEN通信・第2回 <前編>

今回は京都の妙心寺・退蔵院の松山大耕さんにインタビューさせていただくことが出来ました。顧客の皆様の何かのヒントにな...

関連記事
ZEN通信 <前編>

ZEN通信 <前編>

皆様と一緒に学ぶ「古典であり、最先端カルチャーの世界」

関連記事
ZEN Tシャツ 第2弾登場

ZEN Tシャツ 第2弾登場

さて、今回は私のブログを通じてZEN Tシャツの第2弾のご紹介をさせていただければと思う。

関連記事
衣装提供|ドラマ「続・続・最後から二番目の恋」

衣装提供|ドラマ「続・続・最後から二番目の恋」

月曜夜9:00-放映中のドラマ「続・続・最後から二番目の恋」に弊社のスエット作務衣が登場いたしました。

TSURIAMI SAMUE 作務衣/ヴィンテージ・スエット

49,500円 (税込・参考価格)

商品やサービスを紹介いたします記事の内容は、必ずしもそれらの効能・効果を保証するものではございません。
商品やサービスのご購入・ご利用に関して、当メディア運営者は一切の責任を負いません。