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2024年6月、欧州出張 最終回

早いもので、今年も半分が過ぎてしまったし、ヨーロッパ出張から戻ってこの一ヶ月本当にあっという間だった。

2024.08.19 貞末哲兵コラム


今これを書いているのは、自宅の一室で、2024年7/29(月)の早朝である。

早いもので、今年も半分が過ぎてしまったし、ヨーロッパ出張から戻ってこの一ヶ月本当にあっという間だった。


第15回に渡る欧州出張記も今回でまとめとしたいと思っているのだが、服は時代をグルグルと回りながらアップデートされ、世界が動くスピードと連動していることを改めて感じている。


イタリア・コモにある世界的シャツ生地メーカーである CANCLINI社のMauroさん※ は服を見るのは東京が一番良い、というような話をしていた。


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確かに、東京にない物は世界中どこにもなく、コンパクトかつスピーディーに、効率よく服を見るにはTOKYOが良いのも頷ける。




しかし、それはヨーロッパという長い服飾文化を持つ国の、業界の人だからその言葉が出てくるのであって、我々が鵜呑みにしてはいけない。

東京には全てがあるが、そこには本当の意味での文化的な洋服の背景はない。

京都には本物の日本文化が残っていて、鎌倉には禅の文化があるが、東京は金融都市としての機能や資本主義的な集合体として世界有数の都市なのである。(江戸文化含め)




鎌倉シャツとしては、創業者である 貞末良雄※ が唱え続けたように「洋服は西洋の物」であり、日本人は謙虚に学び続ける以外にこの道で成就していくことは出来ない。


※ 貞末哲兵コラム「鎌倉シャツ創業者との対話」シリーズ



そして、鎌倉シャツが取引しているヨーロッパでも屈指のファクトリー群が、その文化を支えているのであって、彼らと毎シーズン対峙するのは簡単なことではない。




これは、ヨーロッパの和服小売メーカーが京都に来て、生地などを仕入れることに近い。

日本側の我々は内心、「君達に和服が分かるのかね?」と思うに違いないのだが、ヨーロッパの彼らはそれでも、修行を重ねながら日本人と商談をするのだと思う。


日本人が、洋服の服飾文化を持ったヨーロッパの人達と対峙する時、自分を守ってくれるのは、知識や技術ではなく、アルコールでもない。

自国(日本)への深いリスペクトと理解だけが、ヨーロッパの人達と対峙する時の「道しるべ」となり、「試金石」となるのだ。




コロナ前の鎌倉シャツには、本当の意味(深く理解し根付く)で鎌倉が背景にはなく、




あったのは、ヨーロッパの服飾文化への深いリスペクトと、「いつか必ず追い付く」という競争原理に基づいたものに過ぎなかった。




コロナ以降、去年から数えて3回目の欧州出張となったわけだが、行く度に鎌倉シャツにとっての鎌倉と、日本文化への理解を深めることの重要性を感じている。

そして、鎌倉シャツとして欧州に出た時、「心から日本人として誇りを持つこと」が出来始めていることを、ここにお伝えしておきたい。

それは、コロナ前にはなかった、とてつもなく大きな、素晴らしい変化なのだ。


競争ではなく、自らの道を極めていくことの大切さに気づいたのである。


しかし、鎌倉シャツが鎌倉を完全に掴んでいると思うのは時期尚早でしかなく、日々の学びと体感、そして仕事を続けながら修行に励んで参りたいと思う。





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