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2024年6月、欧州出張 Vol.9

続いて訪問したミラノのショー・ルームは、1854年創業のMAGLIA FRANCESCO社(マリア・フランチェスコ)である。

2024.06.26 貞末哲兵コラム


続いて訪問したミラノのショー・ルームは、1854年創業のMAGLIA FRANCESCO社(マリア・フランチェスコ)である。




以前、鎌倉シャツでも取り扱いはあったが、このファクトリーが作るアンブレラは世界一と呼ばれている。

何が世界一なのか?

雨が漏れにくく、撥水パワーの強いテクノロジー満載の傘や、使い捨てのビニール傘とは違って、マリア・フランチェスコのアンブレラには歴史とロマンが詰まっているのがその理由である。



雨の日、多くの人が少し嫌な気持ちになる。
ギリギリまで寝て、慌ててビニール傘をさして仕事に向かうビジネス・マンは多いと思う。


ところが、このマリア・フランチェスコ製のアンブレラを前日に準備し、アンブレラを含めた明日のコーディネートを考えたらどうなるだろうか。

出掛ける前に美しい柄や、天然素材で作られた美しい持ち手に触れるとどうだろうか。

不思議と、雨の日であっても、その日を楽しもう、有意義な物にしよう、という気持ちが湧いてくるのである。


ここに、素晴らしい服や、雑貨などが持つポジティブなエネルギーを感じることが出来るのであるが、マリア・フランチェスコ製のアンブレラはその最たる事例と言えるかもしれない。




1854年から続くミラノの工房には、無数のアンブレラが置いてあり、新しいコレクションの他に、異彩を放っているのが数々の修理・依頼品である。


フランチェスコ  「哲兵、このアンブレラは15年使われた物だけど、昨日修理依頼に持って来られたものなんだ。ちょっと痛んでるけど修理すればまだまだ使える。私達の商品は、確かに最初の値は張るけど、他にはない唯一無二の物だし、修理さえすればずっと使えるから、結局そんなに高いものでもないんだよ。長年使っていると愛着も湧いてくるしね。」




私は、直接フランチェスコからこの話を聞いた時、サスティナビィリティの本質を見たような気がした。

我々の身近にある物の中には、例えばエコ素材を使って作られた傘がある。 

ところが、その傘自体の耐用年数は考えられておらず、結局すぐに廃棄になってしまうようなことが往々にしてあるように思う。


もちろん、それらは何も考えずに大量に作られた品からすれば遥かに良いのかもしれないが、マリア・フランチェスコのアンブレラは、存在自体に永続性が極めて高く、初期投資はそれなりにかかるものの、愛着も湧くため、無くすケースも少ない。(無くす無くさないは個人差あり)


そう、サスティナビィリティの答えは、最先端テクノロジーだけが解決するのではなく、1854年から続いているマリア・フランチェスコのような古典にあったりもするのだ。  



通常、人々は一本の傘を何年使うのだろうか?


実は私の家には10年以上使っているマリア・フランチェスコのアンブレラがある。

主に天然素材を使っているため、曲がったり多少雨が漏れやすくなったりしてはいるが、未だにこのアンブレラは手放せない。 

買った時よりも愛着が増し、雨の日のコーディネートを楽しみ、エネルギーを与えてくれるのである。  

まさに、世界で唯一無二の「魔法のアンブレラ」なのだ。



この魔法に魅せられた、エルメスを含む世界のトップ・メゾンのほぼ全てが、マリア・フランチェスコに彼らのアンブレラの生産を依頼している。

トップ・メゾンであればあるほど、雨に漏れにくい、撥水パワーなどよりも遥かに「大切な何か」に価値を見出しているのである。



そういったわけで、エルメスと鎌倉シャツの共通の生産背景は3つになった。


一つは長年付き合いのある アスコット社(独)のニットタイ

来年春からリ・スタートするスティーブン・ウォルターズ社のネクタイ生地、

そして今回のマリア・フランチェスコ社でのアンブレラある。


日本においても、それらに負けないような物作りをしていかなければならない。



つづく

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