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サイゼリヤ研究 vol.3

「用途の重要性」と「戒めるべき天動説」。 サイゼリヤの考え方から、仕事へのヒントを探ります。

2025.07.29 貞末哲兵コラム

はじめに

今このブログを書いているのは2025年7/28(月)の早朝である。



最近、サイゼリヤシリーズが多くなっているのだが、正垣氏(サイゼリア創業者)が提唱する理論はもちろん、

自己への厳しい見方や規律は参考になるばかりでなく、己の至らなさを感じることも多々あるのである。

このブログは私が全45項目に渡りまとめた、サイゼリヤにおける正垣氏の魂の経営学について皆様と一緒に学んでいこうという主旨である。


それでは、早速前回の続きから始めてみたいと思う。

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「なぜあの店は売れるのか?」サイゼリヤに学ぶ、用途に合わせた商品提供と自己否定の重要性

サイゼリヤ創業者・正垣泰彦氏の教え
『おいしいから売れるのではない』から学ぶこと

●用途の重要性

「うまくもない料理を出す店が、何であんなに流行るんだ」

評判の店を視察した後に、そんな疑問を口にする経営者は少なくないが、
こうした発想は間違っている。

なぜならお客様にとっての料理の「おいしい」「まずい」は、
味付けや素材だけで決まるものではないからだ。
(そのことに気づいている経営者は少ない)

お客様がその店を「おいしい」と感じて、また足を運ぶかどうかは、
料理の品質と「店の用途」が合っているかどうかで決まる。

用途とは「空腹を満たしたい」「晴れの日は豪華なディナーで祝いたい」など、
TPOS(Time, Place, Occasion, Style)で分けられる。

サイゼリヤは毎日でも食べられる「日常食」を提供する店であるため、
素材本来の味を生かすことが重要であり、
余計な味付けは不要である。

― 正垣泰彦(サイゼリヤ創業者)

引き続き、今回も耳が痛い話なのだが、アパレルやシャツ業界においても同様で、

私達プロから見ればお世辞にも品質が良いとは言えない商品でも、驚くべき勢いで売れていることが多々ある。 (たまにはでなく、多々である)



なぜならお客様にとってのシャツの「良い」「悪い」は商品の縫製や素材で単純に決まるものではないからだ。(そのことに気づいている経営者は少ない)



「お客様がその店を良いと感じて、また店に来るかは、商品の品質と店の用途が合っているかどうかで決まる。(用途が大切である)



以上のように我々に当てはめてみたのだが、これは相当に的を得ていると思われるが、「用途の重要性」がここでは強調されている。




鎌倉シャツの都心のお店は「ビジネス」がその用途になるだろうし、郊外店は「ビジネスを含めたライフスタイル提案」が必要になるような気がする。

単純な品質、マーチャンダイジングやマーケティングではなく、「用途の重要性」について今一度考えてみたい。


お客様は「何のため」に選ぶのか?ビジネスに潜む「天動説」という罠

サイゼリヤ創業者・正垣泰彦氏の教え
『おいしいから売れるのではない』から学ぶこと

●戒めるべき天動説

「人気のある料理は“おいしいから売れている”」と考えがちだ。

この売れている料理は競争力があるのだから、
もっと売るために販促を強化しよう――
そうした経営判断を下すこともあるだろう。

しかしそれは、自分の経験だけに基づいた
一方的な結論にすぎない。

たとえば、同じ料理が近所の他店では何倍も売れている場合、
自店の人気メニューは“魅力があるから”ではなく、
“他よりマシだから”選ばれている可能性もある。

問題は、「自分の店の料理はおいしい」と、
自分に都合の良い結論を無意識に導いてしまうこと。

まさにそれは「天動説」的な考え方である。

― 正垣泰彦(サイゼリヤ創業者)

こちらも耳が痛いところなのだが、私達、鎌倉シャツも「自分の店のシャツの品質は素晴らしい」という

都合の良い結論を無意識のうちに導き出してしまっている可能性がある。



もちろん、品質には自信があるのだが、そこはビジネスをする上で引き離して考える必要性がありそうだ。

我々より安い価格(1,900円〜3,900円)で売っている量販店のシャツはよく売れているし、枚数だけなら我々のシャツを上回っている。

多くのビジネスマンが買うシャツのゾーンがこの価格帯なのだから、売れている枚数が多いのは当然と言えば当然なのだが、

「学ぶべき点は多い」と見るか、「見て見ぬふりをしてスルーするか」では大きな違いとなるに違いない。




また、自店の人気商品は魅力があるから売れているのではなく、「他の商品よりはましだから」という理由で、

お客様はやむを得ず、その商品を頼んでいるだけかもしれないと考えるべきなのである。

多くの問題点は、「自分の店の商品は素晴らしい」という自分にとって都合の良い結論を無意識のうちに導き出してしまったいるところにある。(天動説)




正垣氏はことあるごとに、経営陣が陥りがちなこの「天動説」について深い戒めの言葉を残している。

天動説でビジネスを考えてしまうと、売れなくなった時にその理由を経済情勢や他者のせいにする癖がついてくる。

そうなってくると進歩や改善は生まれなくなり、店の競争力は瞬く間に落ちていくのである。

私自身が物事を天動説で考える習慣があるので、自戒する意味でも肝に銘じておかなくてはならない。




つづく

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