2024年6月、欧州出張 Vol.1
ヨーロッパ出張に来続けて早くも15年以上にもなるが、やはり訪れる度に様々な刺激を与えてくれる。
今これを書いているのは2024年6/10（月）で、ロンドン・パディングトン駅からほど近いビジネスホテルの一室である。
ヨーロッパ出張に来続けて早くも15年以上にもなるが、やはり訪れる度に様々な刺激を与えてくれる。
今回のメンバーは企画・クリエイティブチーム中心の構成となっており、私、こばブログでお馴染みの小林、シャツ設計の江戸っ子 宮沢、メンズ・ディレクターの大道の4人である。
我々は、昨日の夕方ロンドンに入り、今日はロンドンの街を市場調査することにした。
まず、ロンドンと言えばHARRODS（ハロッズ）である。このブログを読んでいる方の中でハロッズをご存知ない方はいないと思うが、一応簡単に説明すると、ロンドン中心部の一等地であるナイツ・ブリッジに位置する、王室御用達の世界一の百貨店であり、全てのデパートの原型と言われているすごい店なのである。
ハロッズに行く度に思うのが、「ロンドンが階級社会である」ということだ。
ロンドンはエリアによってそこに住んでいる階級がきっちりとセグメントされているそうだが、デパ地下のようなフード・エリアも含め、ハロッズの店内には富裕層か、我々のようなミーハーな観光客しかいない。
新宿・伊勢丹と「決定的に違う何か」がハロッズにはあって、そういったことを一つ一つ理解していくことが、本当の意味で洋服を作り、販売していく上で極めて重要であることを痛感するのである。
南仏・コート・ダジュールやモンテ・カルロ、もちろん、パリなんかもロンドンと同様で、それらを学ぶには自分自身が体感して、現地の人と接点を持つ以外に方法はない。
本や映画からでももちろん学べるのだが、前述の「決定的に違う何か」について言及されることはなく、 それらを前提としてストーリーが成り立っていることに気付くことは難しい。
私もまだまだ勉強中で甘いのだが、自身の体感以外の方法で、ヨーロッパ世界を学ぶには、やはり、宗教を少しでも勉強しておくことが良いように思う。
ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の３つは、ヨーロッパの人口の半数以上を占めるだけでなく、これらの根本的な考え方を学ぶことは、ヨーロッパ世界を知る上で極めて有益なのだと思う。
さて、ハロッズを後にした我々は、JERMYN STREET（ジャーミン・ストリート）へと向かうことにした。
ジャーミン・ストリートは鎌倉シャツの創業者達も憧れたシャツ（靴も）の聖地であり、中でも屈指の歴史と威厳を現代社会においてもいかんなく発揮するTURNBULL&ASSER（ターンブル&アッサー）は、世界有数のシャツ屋であり続けている。
私と小林は何度か訪問したことがあったのだが、宮沢、大道は初めてだったので、念入りに店内を見て回ることにした。
オーダーもしっかりとあるのだが、彼らは自らを「SHIRT MAKERS」と謳っており、あくまで既製服の中で勝負していることが見受けられ、その潔さと揺るぎない自信と威厳が保たれた美しい店内に、改めて我々は唸ったのであった。
SHIRT MAKERS、なんとも素晴らしくも美しい、ノスタルジックな言葉と共に展開されたシャツ、パジャマ、下着、ハンカチが並び、それらのほとんどがコットンやリネンの天然素材だけで構成されているのだ。
ネクタイ以外、（ネクタイも最高の英国製生地を使用）SHIRTING （シャツ生地）だけで展開し、顧客を魅了し続けるターンブル&アッサーは今、改めて新鮮であると同時に、鎌倉シャツの原点を垣間見たようにも思う。
宮沢 「哲兵さん、いつかこんな店作ってよ。そしたら俺さぁ、作るのやめて店で接客したいなぁ。」
オーダーも良いが、既成服の未来は明るい。
宮沢の謎の江戸弁はさておき、そんな風にターンブル&アッサーが優しく語りかけてくれたような気がした。
つづく
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