オーダーシャツについて
今回は鎌倉シャツのホームページ向けに書いたオーダーについての寄稿文をそのまま載せさせていただきたいと思う。
今これを書いているのは2025年2/22(土)の7:00を少し回っていて、先程 Instagram でストーリーを上げたところである。
私にとって日々ブログ、FacebookやInstagramで何かを発信するのは大切な仕事だと捉えている。
私は著名人でも目立ちたいわけでもないので、仕事以外の内容はSNSに全く載せておらず、あくまで、鎌倉シャツで働く1人のビジネスマンの記録として発信したいだけである。
一方で、何かを発信すれば必ずアンチもいたりするので無傷ではいられない。
とはいえ、私自身は過去何かを発信したり、やってみたいことを他人に発したことがきっかけで、実現した事柄は一度や二度ではなかった経験を持っている。
そう、どんなに素晴らしいアイディアや考えをその人が持っていたとしても、発しなければ何も起こりはしないのだ。
ある本によると、
「多くの人は自分の実現したいことを他人に伝えることなくその人生を終える」
そうである。
発信する。しない。どちらが良い悪いではなく、好みの問題とも言えそうだが、この辺りで本題に移りたいと思う。
今回は鎌倉シャツのホームページ向けに書いた オーダーについての寄稿文 をそのまま載せさせていただきたいと思う。
私は、自分で書いた物を読み返したりしないのだが、せっかく書いたのでどこに載っているかくらいは確認したく、探してみたところ例によって、WEBページのかなり奥底にあったのでディグして再発信とさせていただきたい。
このブログを読んでくれたあなたが、鎌倉シャツやオーダーについて考えを深めるきっかけになればそれに勝るものはないので、是非ご覧いただきたいと思う。
以下、寄稿文

「オーダー」
「オーダー」…その言葉からは、優美で特別な力を感じることが出来ます。
しかし、オーダーであれば、どれでも何でも安心と思うのはやや早計であり、注意を払う必要があります。
以前、私は鎌倉シャツ生粋のシャツマニアである宮澤と様々なシャツの試作を繰り返していました。
その中で一番印象に残っているのは「寸法やスペックだけを合わせても美しいシャツにはならない」という事実です。
10年前のとある日、私と宮澤はあるシャツのサンプルが出来上がり、試着をしながら議論を重ねていました。
そのシャツは、ナポリのシャツをモデルにした、未来の マンハッタンモデル の原型ともいえるサンプルでした。
おかしい、このシャツは寸法通り上がっているのに、なんか歪(いびつ)で着心地も悪い。なぜだ!なんでなんだ…微笑む宮澤を横目にしながら、焦る私はその理由が全く分からない。
「哲兵さん、シャツの前身頃と後ろ身頃って別で寸法を取るんですよ」
ニッコリと宮澤は笑った。

私 「 前身頃と後ろ身頃 ??」
宮澤 「そう、人間は体型関係なくお腹側の方が大きくて、背中側の方が小さいですよね?」
私はお腹を触りながら「それはまあ、そうですよね…」と答えた。
宮澤 「シャツのフィッティングを人体に沿わせるための秘訣は、人間が持っている普遍的な構造であるお腹と背中の寸法にあるんです」
サンプルのシャツを脱いで広げて見てみると「ホントだ!」お腹側の寸法がやたらと小さく、背中側の寸法が大きい。なるほど、寸法通りに上がっているのに人体とは真逆の作りになっている。
これでは着心地が悪く、歪で人体に沿わないのも当たり前だ…
思えばこの時が、シャツを作る上で最も大切なことの一つが「型紙(パターン)」であることを身を持って体感した瞬間だったのでした…
さて、ここで「オーダー」に話を戻したいと思います。
オーダーの利点は「生地が選べる」「寸法を合わせられる」「様々なカスタムが出来る」の3つに集約されますが、紳士服の世界で最も大切なのはサイズとフィッティングです。
どんなに高級な素材を使っていても、サイズやフィッティングが合っていない服は、人間にとって無用の長物となってしまいます。
つまり、オーダーの最も素晴らしいポイントとして挙げたいのが「寸法を合わせられる」ことであると同時に、忘れてはならないのはそれに伴う「型紙」なのです。
高いお金を払ってオーダーをし、寸法は合っているものの、なぜか着心地が悪く見た目も美しくない…
前述の私のような、そんな経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
それは、シャツの型紙が体に合っていないことと、シャツの構造上歪な作りになっていることに他なりません。
一見、優美で特別な力を感じさせる「オーダー」といえども、体の構造(前身・後ろ身)に合わせた型紙、シャツがシャツたるためのセオリーが守られた型紙がとても大切で、この二つの交差点を意識しなくては良いシャツ、良いオーダーは作れないのです。
また、それらを実現するには、人体に合わせた複雑な型紙が持つ、多くの曲線部分を縫い合わせる高度で特殊な縫製技術が必要になります。
つまり、オーダーだからといって安心ではなく、様々なチェックポイントをクリアした物であるべき、というのが私の主張であり「オーダーという言葉の裏側に潜む真実」を顧客の皆様にはお伝えさせていただきたいと思っています。
そして、鎌倉シャツのオーダーは上記の厳しい基準をクリアした物に仕上がっていますので、安心・安全であると保証いたします。
この価格帯でここまでパターンや縫製技術を極めたオーダーは他にはないと思いますし、ナポリの超高級シャツのオーダーにも決して引けを取らないと思っています。
本物志向でいらっしゃる顧客の皆様に、改めてお勧めしたいのが「鎌倉シャツのオーダーシャツ」です。
是非、この機会にお試しいただければ幸いです。

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