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アイビールック の A to Z【J】

カレッジガール達は男子学生とのデートも専攻コース選びも気まぐれだが、一つだけいつまでも好きでい続けるものがある。セーターだ。

2023.08.02 グレアム・マーシュ

KAMAKURA SHIRTS A to Z OF THE IVY LOOK

著者/イラスト グレアム・マーシュ

アイビールック の A to Z【J】

カレッジガール達は男子学生とのデートも専攻コース選びも気まぐれだが、一つだけいつまでも好きでい続けるものがある。セーターだ。”「 細目のラペルで出かけるのであれば、ナチュラルショルダーにダブルブレストのヂャケットを持っていけ」Jヂャケットが必須である理由私にとってアイビールックを完成させるために必須となるアイテムがいくつかある。ボタンダウンシャツ、ブローグシューズ、ローファー、そして、驚くほどにスタイリッシュでかつ着心地の良いアイビーヂャケットだ。このようなヂャケットは、元を辿ればBrooks Brothersに行きつく。1918年、ブルックス兄弟はあの有名なナンバーワンヂャケットを作り上げた。肩パットのない「ナチュラルショルダー」にボタンホールが左側に付いたしとやかなラペル。前身頃は全体的にゆったりとした印象となる作りとなっており、後ろにはセンターバックベントが施されている。元々彼らのヂャケットは、19世紀初期のメンズ服から生まれたバギーズヂャケットをモデルに、無駄のなくビジネスウェアとしての要素を取り入れたものなのだ。

Blue Note Recordsのアルフレッド・ライオンと共同創設者であるフォトグラファーのフランシス・ウルフは、「ジャケット」違いではあるが彼らのレーベルについてこんなことを言った。「私たちはレコーディングもプレスもカバーも含め、一つのスタイルを確立した。ディテールが違いを生んだ。」



これはクラシックなアイビーリーグヂャケットにも同じことが言える。拘りのあるディテールが違いを生むのだ。HaspelやChipp、The Andover Shopなど、20世紀半ば頃までのアパレルブランドの多くがその当時に、ありきたりで特別な拘りはないアイビーヂャケットを作っていた。これらのヂャケットは、まさにこれ見よがしに着るために作られた、サビルロウにすら見合わないスタンダート仕様の量産製品だ。この頃から、アイビーヂャケットとしての重要なディテールが盛り込まれるようになったのだ。裏地は背抜き仕様で、縫い目は1/4インチ幅の織伏せ縫い、そして縁に施される1/4インチステッチ。もう一つの特徴としては、6インチのフックベントだ。この伝説的なフックベントはJ. Pressのアイコンのようなものであり、Brooks Brotehrsで一度も使用されなかったのはこのためだ。ラペルは細く、身軽さをよしとしないファッションに精通した一部の男たちは3つボタンの一番上だけを留めて着ていた。

1955年に、紳士服の裁縫小物の商売をしていたジョセフ・ハスペルによって生み出されたシアサッカーヂャケットとスーツが登場した。洗える人工繊維のシアサッカーはシワにならないことを強みとして出てきたのだ。アイビーを伝統的に愛する者たちは、コットンにほどの格好よく着心地のいい素材はないと、この人工繊維によって作られた生地を嫌った。もちろん、ドライクリーニング屋がアイビー信者の肩を持ったことに驚きはない。

1950年代から1960年代にかけてのアメリカ東海岸は紛れもなくアイビールックの真の故郷である。人々は皆、自分のことは自分でやり、強い主張はしないがきちっとした着こなしで自信を表す新たしいアメリカの時代である。バーネット・ニューマンの“Zip”と呼ばれるミニマリズムの先駆けとなるカラーフィールド・ペインティングから、フランク・ロイド・ライトの美しい作品であるグッゲンハイム美術館に、エーロ・サーリネンがデザインしたNYアイドルワイド空港(JFK空港の旧称)の中のTWAターミナルに至るまで、当時のアートの遍歴を見ても分かるように、ファッションにおける近代的な要素が表現され始めたのだった。

アメリカ人以外にとっては一方で、これらの文化的影響はアイビーファッションに最も著しく現れていた。しかしそれはグレーのフランネルスーツを着た男たちのことではなく、超クールなモダンジャズのアルバムカバーを飾るヒップスターたちや、人気テレビ番組や映画に出る俳優たちのことだ。ダークブルーのホップサックやコーデュロイ、ブルーストライプのシアサッカー、マドラスチェック、そして軽いツイード生地でグレーかブラウンのヘリンボーン。彼らは皆、誰もが強く憧れるヂャケットを着ていた。

夢のような話かもしれないが、これらのアイテムはアイビールックを正しく評価していた。アメリカ国内にこれらのファッションが取り入れられるようになり、最後のディテールとしてパッチ&フラップポケットが施された。私の友人で頭の先からつま先までアイビールックを着こなす人が自信を持ってこんなことを言っていた。「自分で着る服を掘り下げることに代わるものはない。」言うまでないが、鎌倉シャツの上等なヂャケットたちを是非ともチェックしてほしい。

次は、K。

ブログ内イラスト ©︎ Graham Marsh

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