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ボタニカルダイのシャツができるまで

今回は先月のNHKあさイチでも取材を受けました「ボタニカルダイのシャツ」についてお話しさせていただこうと思います。

2024.04.10 ブログ
ボタニカルダイシャツ

顧客の皆様、いつも鎌倉シャツをご愛用くださりありがとうございます。
鎌倉シャツ ディレクターの貞末 哲兵です。

今回は先月のNHKあさイチでも取材を受けました「ボタニカルダイのシャツ」についてお話しさせていただこうと思います。

鎌倉シャツのボタニカルダイの歴史はまだ浅く、2021年の「紫陽花シャツ」がスタートでした。

紫陽花

鎌倉シャツのボタニカルダイは一貫生産のため、植物から色素を取り出し、糸を染め、生地を織り、シャツを縫い上げます。工程にかなりの時間を要するため、全てのプロジェクトは一年前からスタートさせなければ間に合いません。
つまり、2021年に展開された紫陽花シャツは、2020年度の紫陽花を使ったものになります。

この年、コロナウイルスの蔓延から4月に緊急事態宣言が発出されたことにより、鎌倉シャツの店舗はクローズし、得意だったグローバル展開(海外進出やバイイングも含めた)が断たれることになりました。店舗がクローズし、今まで得意としてきた戦略を絶たれた鎌倉シャツは、生き延びることができるか瀬戸際に立たされていました。

外出すらできない中で、今後の方向性を模索する日々が続きました。
ところが幸運にも、鎌倉シャツにはやり残したことがあることにすぐ気づくことができたのです。

「そうだ鎌倉へ行こう。」

それは、創業の地である鎌倉に回帰し、徹底的に掘り下げ、そこから発信すること、地元のファンをもっと増やすことでした。鎌倉シャツの家(ホーム)は鎌倉で、社名にも鎌倉とあります。その鎌倉でやり残したことが多くあると分かった時、とてつもなく大きな力に突き動かされてるような気がしました。

さて、鎌倉に回帰する方向性はいいのですが、始めは何をやったらいいか全く分かりません。

ひたすらにアイディアをスケッチブックに書き、鎌倉中央図書館、文学館などにも足繁く通い、ヒントを模索する日々が続きました。
鎌倉にゆかりのある北大路魯山人、井上ひさし、横山隆一、鏑木清方など偉人達の歴史や書物を調べたりもしていました。

インスピレーションの源泉である鎌倉を感じるために、毎朝出社前にありとあらゆるところをウォーキングしていました。

ちょうどその頃の鎌倉は、街全体が紫陽花一色で、お寺はもちろん、いたるところに美しく咲いていました。鎌倉生まれの私にとって、紫陽花は珍しくもなんともなく、いつでもどこにでも普通にあるものと思っていましたが、毎日ウォーキングを続けていると、その美しさを再発見せざるを得なくなってくるわけです。

紫陽花は晴れの日も雨の日も美しく咲き、しかもありがたいことに咲いている期間が長いことに改めて気づいたのです。ヨーロッパや海外にある美しい物ではなく、一番身近にある美しい物を再発見することができたのです。
この鎌倉の紫陽花の美しさをもっと多くの方に伝えたいと思いました。

「ボタニカルダイという手法を使えば、多くのお客様に鎌倉の紫陽花の素晴らしさをお伝えすることができる。シャツの力、服の力は少しも失われてはいない。それどころかその力はこの時代に増すばかりだ。」
そう確信した私は例によって、弊社佐野(素材開発の鬼)に連絡を取り、やり方を聞いてみることにしました。

佐野 「哲兵さん、紫陽花をどこかから持ってこなきゃできないよ~。紫陽花をどこからかもらえますかね?」
哲兵 「いや!紫陽花をもらえそうなところは知らないです。 」
佐野 「昔僕もやろうとしたんですが、結局紫陽花をもらえなかったんでできなかったんです。」
哲兵 「しかし、今何とかしないと紫陽花の時期が終わっちゃいますよね…」

そこで私は、鎌倉シャツの守護霊、守り神と呼ばれる鎌倉市観光協会の大津専務理事に相談しました。

哲兵 「剪定した紫陽花をいただけるようなところはご存知ではないでしょうか?」
大津 「お寺に聞いてみましたけど、紫陽花の剪定が終わっているお寺ばかりでどうにもならないです。もう少し早く言ってくれればなぁ。」

万事休すと思われたその時、
後に鎌倉シャツの作務衣プロデューサーとなる浄智寺の朝比奈住職から…

朝比奈「円覚寺に行ってごらんよ。俺が話しといたから。」
その時、早朝の朝靄かかる朝比奈住職が、まさに「仏」に見えたのを今でも覚えています。

円覚寺は特に厳しいと言われる臨済宗の専門道場(全国から修行僧を募集している)があり、日本はもちろん、世界的にも有名な名刹です。
朝比奈住職は円覚寺の庭師の方に話を通してくれており、「捨てるだけなので好きなだけ持っていってください」とおっしゃっていただきました。

無事に紫陽花をいただくことができたので、佐野との打ち合わせ通り、都内某所にあるボタニカルダイの研究所に送りました。


この研究所は門外不出の独自のノウハウを持っていて、皆様に詳細をお話しするのは難しいのですが、世界でも屈指の技術を有しています。研究所で抽出した色素を使って糸を染め、生地を織り、ようやくシャツが完成するのです。植物からシャツまでを一貫で作る、まさに「物作りの鎌倉シャツ」ここにありですね。

そして、今年は2022年ですから2021年にいただいた植物の色素を使ってシャツを作って行きます。

まずは桜の色素を使ったシャツです。
淡いピンクがなんとも美しいシャツにすることができました。
この桜は、いつも鎌倉シャツに多大なるご支援をしてくださっている建長寺の物を使用させていただきました。

続きまして、2021年大ヒットした紫陽花のシャツが今年も登場です。
今年は建長寺の紫陽花を使用させていただくことができました。

次に鮮やかなイエローが眩しい牡丹のシャツです。
こちらも建長寺よりいただいたものを使用させていただくことができました。

ボタニカルダイシャツ一覧


いつも多大なご協力をしてくださる建長寺は、鎌倉五山第一位に列せられ、専門道場もありますが、一般の方にも広く大きく開かれたお寺です。
また、鎌倉シャツの会議も建長寺で行われていたりしています。

自然豊かなお寺で開かれる会議は、鎌倉シャツらしく、また社員の表情もいつもより明るく感じられます。

コロナウイルスが蔓延してから、早二年になります。
その間、鎌倉シャツは立ち止まることなく、またホームの地でたくさんのご協力を得ることで、様々な挑戦をすることができました。まだまだやるべきことは多いのですが、鎌倉というホームでの挑戦がひと段落する頃、再び世界への再挑戦が本格的に始まると思っています。


世界では紛争が起こり、コロナウイルスの終息もまだまだ見えませんが、シャツの力、服の力で少しでも顧客の皆さまに喜びを与えることができたらと思っています。


今月も最後までお読みくださりありがとうございました!
また、来月お会いすることを心より楽しみにしてます。

貞末 哲兵

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