上品なお洒落について Vol.4 【シャツについて】
男性のファッションの基本は、まずは何よりもシャツです。 最近は、Tシャツスタイルがビジネスシーンにおいても 一定の広がりを見せているようですが、基本的に日本人には似合わないので避けるほうが賢明です。
Tシャツにジャケット、
一見簡単に見えるコーディネートは、
ジャケットの素材やデザインをTシャツに合わせなくてはいけませんし、
簡単なようで非常に複雑で、色の合わせも考慮すると、
上品なコーディネートをするのは不可能に近いと思います。
まして、ジャケットとTシャツを
綺麗に上品に着こなしている方を見たことがないのも事実です。
ご自身では人と違う服装をしている
気になっていらっしゃるかもしれませんが、
ファッションは人と違う服を着ることではなく、
シーンや着用するその人にいかに馴染んでいるかが重要なのです。
さて、前置きが長くなりましたが、
シャツは上品なビジネススタイルを作るのに最も優れたアイテムです。
上質でしっかりと丁寧にケアがされたシャツを着れば、
それだけでお洒落に近づけます。
シャツさえ決まれば、あとはネクタイ、ジャケット、トラウザーズ、シューズと
そのシャツの雰囲気に合わせてコーディネートすれば良いのです。
明日何を着ようと悩む必要はありません。
明日何のシャツを着ようと考えれば、
自ずと明日のファッションは決まります。
昨今、アパレル産業の問題がサスティナブルの観点から取り上げられ、
ファッションを軽視する論調が目立つようです。
しかし、人間は衣食住以外になく、
服を着なければ社会活動が出来ない唯一の動物なのです。
食べることや、巣を作り、どこかに住むことは全ての動物に共通ですが、
人間だけは服を着なくてはならないのです。
つまり、「人間が人間でいるための服」というものを短絡的な考えで否定し、
軽視してはならないと思っています。
人間が明日何を着るかは「明日どう生きるか」に他ならないのです。
そして、まずはシャツです。
シャツの歴史をここで述べるのは趣旨から外れるので割愛しますが、
シャツは一番体に密着し、顔に近いところに位置しますので、
それらがなるべく引き立つように、
まずは天然繊維である上質なコットン100%のものを選ぶようにしてください。
合繊や形態安定の樹脂を入れ過ぎたシャツは、
シワがなくて良いと思われるかもしれませんが、
人間そのものが天然素材で出来ている以上、全く馴染みません。
これらの過度に加工を施したシャツの作られ方ですが、
高価である上質な天然素材は使用せず、
なるべく安い物を仕入れ、加工、化粧をし、
「シワが出来ない」というただ一点だけで勝負している
粗悪品と思っていただいて間違いありません。
日本の一般家庭では男性より奥様の方が力を持っている場合が多いので、
アイロンの手間がかからず、クリーニングに出すコストもセーブ出来るため、
市民権を得てしまいました。
しかし、「明日どう生きるか」(明日何を着るか)の選択肢は奥様ではなく、
ご自身でなされなければならないと思います。
シャツや服は、ご自身の足で手間をかけて探し、
またご自身の目で品質をチェックできる
目利きの力を持つことが大切だと思います。
次にデザインです。
まずはなるべく主張のない
普遍的なデザインのシャツを選ぶようにしてください。
襟が二枚になっているものや、真っ黒のボタンやボタンのステッチに
色が入っているものはご法度です。
この類のシャツは、例によって高価で上質な天然素材である
コットン100%を使うことが出来ないため、
安直な変化、ごまかしのマーケット商材であると断言致します。
ごまかしの素材、ルールを無視した安易なデザインに
惑わされないように注意しなくてはなりません。
シャツは一にも二にも素材が大切で、
まず上質なコットン100%を使ったものが基本で、
ボタンは天然の貝を使わなれたものでなくてはなりません。
上質なコットン、天然の貝ボタンで作られたシャツは、
主張はなくとも、その人自身を際立たせ、
着る人に活力を与える力を持つのです。
次に縫製ですが、
熟練の職人によって丁寧にに縫われた普遍的なシャツは、
それだけで美しいデザインと呼べます。
綺麗に縫製されたシャツには、
ルール無視の二枚襟や黒ボタンなどの謎のディテールは不要です。
縫製が綺麗かどうかを見極めるには、
襟のステッチを見るのが良いと思います。
均一で細かく丁寧に縫われているかを必ずチェックしてください。
シャツを広げるのが許されるならば、裾のステッチを見てみてください。
均一な細さで三ミリ以下で縫われていることが、
美しい縫製のチェックポイントです。
襟と裾が綺麗に縫われているシャツであれば、
他の縫製項目はチェックする必要はなく、
高い基準で縫製されている証と言えます。
百貨店、セレクトショップなどに置かれている
上質な日本製のシャツの店頭小売価格は、
一万円以上はしますが、やはりそれだけの価値があります。
(鎌倉シャツなら五千九百円 税抜きです)
最近は、中国や東南アジアで
それらしいシャツを作っているメーカーもありますが、
日本の縫製には及ばないものがほとんどです。
日本人は真面目で手先が器用なので、縫製がとても上手なのです。
なるべく日本製で、上質な天然素材、
綺麗に縫製されたシャツを選ぶことをおすすめしたいと思います。
貞末 哲兵
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